理 由 |
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1 本願商標及び手続の経緯 |
本願商標は、「TSM MODEL」の欧文字を横書きしてなり、第28類「Toys and models, namely, plastic and die-cast toys and models in the nature of toy models of cars and other vehicles and related accessories therefore; model plastic toy figurines.」を指定商品として、2020年(令和2年)10月16日に国際商標登録出願されたものである。 |
本願は、2021年(令和3年)10月12日付けで暫定的拒絶通報が通知され、令和4年1月27日付けで意見書が提出されたが、2022年(令和4年)7月25日付けで拒絶査定がされたものである。 |
これに対して、令和4年10月31日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。 |
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2 引用商標 |
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第6272830号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、令和2年4月7日に登録出願、第35類「おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、令和2年7月22日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。 |
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3 原査定の拒絶の理由の要旨 |
原査定は、本願商標の構成中「TSM」の文字部分を分離抽出した上で、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、本願商標の指定商品は、引用商標の指定役務と類似の商品を含むものであるから、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 |
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4 当審の判断 |
本願商標は、上記1のとおり、「TSM MODEL」の欧文字を横書きにしてなるところ、「TSM」の文字と「MODEL」の文字との間にスペースを有するとしても、本願商標は、同書同大で、外観上まとまりよく一体に表されており、かつ、本願商標の構成全体から生じる「ティーエスエムモデル」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。 |
そして、たとえ、本願商標の構成中の「MODEL」の文字が「模型」の意味を有する(「ジーニアス英和辞典 第5版」大修館書店)としても、本願商標の上記構成及び称呼からすれば、該文字が商品の品質を表示するものとして直ちに理解されるというよりは、むしろ、本願商標の構成全体をもって、一体不可分のものとして認識し、看取、把握されるとみるのが相当である。 |
さらに、本願商標の構成中「TSM」の文字部分のみが取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りる事情は見いだせない。 |
してみると、本願商標の構成中「TSM」の文字部分を分離抽出した上で、本願商標と引用商標とが類似するとした原査定の判断は、妥当なものとはいえない。 |
他に、本願商標と引用商標とが類似するというべき事情は見いだせない。 |
したがって、本願商標の指定商品と引用商標の指定役務との類否について検討するまでもなく、本願商標と引用商標とが類似するとして、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 |
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 |
よって、結論のとおり審決する。 |
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