理 由 |
|
1 本願商標及び手続の経緯 |
本願商標は、「DNA MODEL MANAGEMENT」の文字を横書きしてなり、第35類に属する日本国を指定する国際登録において指定された「Modeling agency services.」を指定役務として、2021年(令和3年)7月30日に国際商標登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 |
本願は、2022年(令和4年)6月3日付けで拒絶理由の通知、同年9月12日に意見書の提出、同年10月7日付けで拒絶査定されたものであるが、これに対して、令和5年1月18日付けで本件拒絶査定不服審判の請求がなされた。 |
|
2 引用商標 |
本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した国際登録第1367329号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、2016年(平成28年)12月7日にベネルクス商標意匠庁においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2017年(平成29年)3月9日に国際商標登録出願、第14類、第35類及び第41類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成31年3月15日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 |
|
3 当審の判断 |
(1)本願商標について |
本願商標は、「DNA MODEL MANAGEMENT」の文字を横書きしてなるところ、その構成文字は、同じ書体、同じ大きさ、等間隔で、横一列にまとまりよく表してなるから、一連一体の語を表してなると看取でき、いずれかの文字部分が独立して看者の注意を引くようなものではない。 |
そして、本願商標の構成中、「DNA」の文字は「デオキシリボ核酸。」の意味を、「MODEL」の文字は「型式。ファッションモデル。」の意味を、「MANAGEMENT」の文字は「経営。管理。」の意味を有する英語(参照:「ベーシックジーニアス英和辞典 第2版」大修館書店)であるところ、構成文字全体としては具体的な意味を有する成語となるものではなく、各語の語義を結合した意味合いも具体性を欠く。 |
また、本願商標の構成文字全体から生じる「ディーエヌエイモデルマネージメント」の称呼も一連に称呼し得るものである。 |
そうすると、本願商標は、その構成文字に相応して、「ディーエヌエイモデルマネージメント」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。 |
(2)引用商標について |
引用商標は、別掲のとおり、やや傾けた赤色の六角形内に、「DnA」の欧文字を白抜きで表してなるところ、その構成文字は、「デオキシリボ核酸。」の意味を有する「DNA」(前掲書参照)の語とつづりを共通にするとしても、2文字目が小文字であり、当該語に必ずしも通じるものではないから、具体的な意味合いを有さない造語と通常は看取できる。 |
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して、「ディーエヌエイ」の称呼が生じるが、特定の観念は生じない。 |
(3)本願商標と引用商標の比較 |
本願商標と引用商標を比較すると、外観においては、図形の有無に加え、構成文字の差異により、互いに異なる語を表してなると看取できるから、判別は容易である。また、称呼においては、語頭の「ディーエヌエイ」の構成音を共通にするとしても、語尾の「モデルマネージメント」の音の有無により、全体の語調、語感は異なるものになるから、聴別は容易である。さらに、観念においては、いずれも特定の観念は生じないから、比較できない。 |
そうすると、本願商標と引用商標は、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において判別及び聴別は容易だから、これを同一又は類似の役務について使用しても、役務の出所について混同を生じるおそれはなく、両商標は類似する商標とは認められない。 |
(4)まとめ |
以上のとおり、本願商標は、引用商標とは同一又は類似する商標ではないから、その指定役務を比較するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当せず、同項同号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 |
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 |
よって、結論のとおり審決する。 |
|