審決


不服2023-650058

314 Main Street, Suite 1200, Cambridge MA 02142(US)
 請求人
Cambridge Mobile Telematics Inc.
  
東京都千代田区神田小川町3丁目2番10号 三光ビル5階 あすなろ特許事務所内
 代理人弁理士
村田 実
  
東京都千代田区神田小川町3丁目2番10号 三光ビル5階 あすなろ特許事務所内
 代理人弁理士
神林 恵美子
  


 国際登録第1614257号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。



 結 論
  
 原査定を取り消す。
 本願商標は、登録すべきものとする。



 理 由
  
1 本願商標及び手続の経緯
 本願商標は、「DRIVESCAPE」の欧文字を横書きしてなり、第9類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品を指定商品として、2021年(令和3年)1月25日にUnited States of Americaにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年7月22日に国際商標登録出願されたものである。
 本願は、2022年(令和4年)6月3日付で暫定拒絶の通報がされ、指定商品については、同年9月15日付け手続補正書により、第9類に属する別掲のとおりの商品へ補正され、同日付けで意見書が提出されたが、2023年(令和5年)3月28日付けで拒絶査定がされた。
 これに対し、令和5年7月12日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
 
2 引用商標
 原審において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は以下のとおりであり、いずれの商標権も、現に有効に存続しているものである。
(1)国際登録第1247729号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「DRIVESCALE」
指定商品:第9類「Computer hardware and software systems for connecting disk drive and flash storage systems to computer servers.」
優先権主張:2014年(平成26年)7月11日 United States of America
国際商標登録出願日:2015年(平成27年)1月12日
設定登録日:2016年(令和28年)2月5日
(2)国際登録第1527870号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「DRIVESCALE」
指定商品:第9類「Downloadable computer software for administering information technology resources over a network.」
第42類「Providing a website featuring non-downloadable software for network resource monitoring and audit logging; providing technical updates of computer software via the global computer network; providing temporary use of non-downloadable cloud-based software for administering information technology resources over a network.」
優先権主張:2019年(令和元年)8月21日 United States of America
国際商標登録出願日:2020年(令和2年)2月21日
設定登録日:2021年(令和3年)8月13日
 以下、引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用商標」という。
 
3 原査定の拒絶の理由の要点
 本願商標は、前記2における引用商標と同一又は類似の商標であって、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
 
4 当審の判断
(1)本願商標について
 本願商標は、「DRIVESCAPE」の欧文字を横書きしてなるところ、構成各文字が同じ文字種、書体及び大きさをもって間隔なく表されており、全体として外観上まとまりよく一体的に構成されているものである。
 そして、その構成中の「DRIVE」の欧文字は、「運転する」(「ジーニアス英和辞典 第5版」株式会社大修館書店)の意味を有する英語として、我が国において一般に親しまれているものであるから、本願商標は、「DRIVE」の欧文字と、「SCAPE」の欧文字とを結合してなるものと看取されるものである。
 他方、本願商標の構成中の、「SCAPE」の欧文字は、「花茎」(前掲書)などの意味を有する語であるものの、我が国において一般に親しまれた語であるとはいえず、これより特定の意味合いは認識されないものであるから、本願商標は全体として、特定の意味合いを認識させるものではない。
 さらに、本願商標全体を、英語の発音方法に倣って称呼した場合に生じる「ドライブスケープ」の称呼も、格別冗長なものでなく、無理なく一連に称呼し得ることからすると、本願商標に接する需要者は、本願商標を一体不可分のものと認識、理解するとみるのが相当であるから、本願商標は、その構成文字に相応して「ドライブスケープ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
 引用商標は、いずれも、「DRIVESCALE」の欧文字を横書きしてなるところ、構成各文字が同じ文字種、書体及び大きさをもって間隔なく表されており、全体として外観上まとまりよく一体的に構成されているものである。
 そして、その構成中の「DRIVE」の欧文字は、「運転する」の意味を有する英語として、「SCALE」の欧文字は、「規模」(前掲書)の意味を有する英語として、いずれも我が国において一般に親しまれているものであるから、引用商標は、「DRIVE」の欧文字と、「SCALE」の欧文字とを結合してなるものと看取されるものである。
 さらに、引用商標全体を、英語の発音方法に倣って称呼した場合に生じる「ドライブスケール」の称呼も、格別冗長なものでなく、無理なく一連に称呼し得ることからすると、引用商標に接する需要者は、引用商標を一体不可分のものと認識、理解するとみるのが相当である。
 そうすると、引用商標は、称呼においては、その構成文字に相応して「ドライブケール」の称呼を生じ、観念においては、引用商標全体からは特定の観念を生じないものの、これらの構成中、「DRIVE」及び「SCALE」の各語の語義より、「運転する」及び「規模」ほどの意味合いを比較的容易に想起させるものである。
(3)本願商標と引用商標の類否について
 本願商標と引用商標を比較するに、外観においては、本願商標と引用商標とは、これらを構成する10文字中、互いに語頭から9文字目の「P」の欧文字及び「L」の欧文字に差異を有するのみであり、それ以外の9文字を同一にし、かつ、同一の文字種からなり、書体も同一又は極めて近似したものであることから、相紛らわしい。
 また、称呼においては、本願商標から生じる「ドライブスケープ」の称呼と、引用商標から生じる「ドライブスケール」の称呼は、その語尾音において「プ」と「ル」の音の差異を有するところ、該差異音は、母音(u)を共通にするものの、子音において、前者が無声音(p)であるのに対して、後者が有声音(r)であるという差異を有するものであり、ともに8音という冗長とはいえない音構成の両称呼において、この差異が称呼全体に与える影響は決して小さいとはいえず、それぞれを一連に称呼するときは、上記差異音が称呼全体に及ぼす影響は、決して小さいものとはいえず、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調、語感が相違したものとなり、称呼上、互いに聞き誤るおそれはないものである。
 そして、観念においては、本願商標からは特定の観念が生じないのに対し、引用商標からは、その構成文字に応じて「運転する」及び「規模」ほどの意味合いを比較的容易に想起するといえるものであり、本願商標と引用商標より受ける印象は相違するといえるものである。
 そうすると、本願商標と引用商標とは、外観において相紛らわしいものの、称呼において互いに聞き誤るおそれはなく、観念において本願商標と引用商標より受ける印象は相違するといえるものであるから、これらを総合して判断すれば、本願商標と引用商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
(4)まとめ
 以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標ではないから、本願商標と引用商標の指定商品の類否について判断するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
 したがって、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。
 


        令和 6年 3月15日

     審判長  特許庁審判官 冨澤 武志
          特許庁審判官 小田 昌子
          特許庁審判官 中島 光

 
別掲(原審における補正後の本願指定商品)
第9類「Safety and driving monitoring apparatus for vehicles comprised of cameras, hardware for remote communication, and integrated circuits; wireless communication device for collecting, tracking, storing, managing, reporting, and transmitting driver and vehicle telematics data; vehicle safety monitoring apparatus, namely, an on-board vehicular monitoring system comprising cameras and sensors that improves the safety of vehicular drivers and passengers.」
 
 
 
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〔審決分類〕T18  .261-WY (W09)
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            263

上記はファイルに記録されている事項と相違ないことを認証する。
認証日 令和 6年 3月15日  審判書記官  眞島 省二