理 由 |
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1 手続の経緯 |
本願は、2021年(令和3年)8月6日に国際商標登録出願されたものであって、その手続の経緯の概略は以下のとおりである。 |
2022年(令和4年) 7月 4日付け:暫定拒絶通報 |
2022年(令和4年)12月13日付け:意見書 |
2023年(令和5年) 2月17日付け:拒絶査定 |
2023年(令和5年) 5月31日付け:審判請求書 |
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2 本願商標 |
本願商標は、「Liturgies」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなり、日本国を指定する国際登録において指定された第4類に属する「Combustible wax; candles and wicks for lighting; wicks for candles; nightlights [candles]; perfumed candles; greases and oils for preservation of leather.」を指定商品として、2021年(令和3年)2月9日にFranceにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、国際商標登録出願されたものである。 |
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3 原査定の拒絶の理由の要旨 |
本願商標は、「Liturgies」の文字を普通に用いられる方法で左横書きしてなるところ、同文字は、「礼拝式、典礼」の意味を有する英語である。 |
そして、本願の指定商品には、ろうそく及び灯芯が含まれているところ、一般に様々な宗教及び宗派が存在しているとしても、礼拝等の宗教儀式において、ろうそくが用いられることは珍しいことではなく、日本でも普及している仏教の寺院やキリスト教の教会において、その施設内でろうそくが使用されていることは、一般的な事実である。 |
現に、本願の指定商品の需要者であるキリスト教関係者が、礼拝の実施に際して、「liturgy」の文字を使用していること及びキリストの礼拝においてろうそくは重要な要素とされている実情が確認できる。 |
そうすると、本願商標を、その指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、同商品が、「礼拝で使用される商品」であるといった、商品の品質又は用途を表示したものとして認識することから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 |
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4 当審の判断 |
本願商標は、上記2のとおり、「Liturgies」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、これは、一部の英和辞典に、「礼拝式,典礼」の意味を有する「liturgy」の複数形として載録されているものの、我が国において一般に親しまれた語とはいえないから、これに接する者に、直ちに特定の意味合いを理解させるものではない。 |
また、当審において職権をもって調査するも、本願の指定商品を取り扱う業界において、「Liturgies」の語が、商品の品質や用途を表すものとして一般に使用されている事実は発見できなかった。 |
他に、本願商標に接する需要者が、これを商品の品質又は用途を表示するものと理解するというべき事情も見いだせない。 |
そうすると、本願商標は、これに接する取引者、需要者により、商品の具体的な品質等を直接的に表示したものとして直ちに理解されるとはいい難く、むしろ、特定の意味合いを認識させることのない、一種の造語として認識、把握されるとみるのが相当である。 |
してみれば、本願商標は、その指定商品との関係において、商品の品質等を表示するものとはいえず、自他商品を識別する機能を果たし得るものである。 |
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するとはいえないから、これを理由として本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 |
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 |
よって、結論のとおり審決する。 |