審決


不服2023-650081

3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054(US)
 請求人
Applied Materials, Inc.
  
東京都千代田区丸の内一丁目9番2号 グラントウキョウサウスタワー 20階 弁理士法人志賀国際特許事務所
 代理人弁理士
村山 靖彦
  
東京都千代田区丸の内一丁目9番2号 グラントウキョウサウスタワー 弁理士法人志賀国際特許事務所
 代理人弁理士
小暮 理恵子
  
東京都千代田区丸の内一丁目9番2号 グラントウキョウサウスタワー 弁理士法人志賀国際特許事務所
 代理人弁理士
行田 朋弘
  


 国際登録第1643686号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。



 結 論
  
 原査定を取り消す。
 本願商標は、登録すべきものとする。



 理 由
  
1 手続の経緯
 本願は、2022年(令和4年)1月5日に国際商標登録出願されたものであって、その手続の経緯の概略は以下のとおりである。
 2022年(令和4年) 9月 5日付け:暫定拒絶通報
 2023年(令和5年) 1月13日  :意見書の提出
 2023年(令和5年) 6月 1日付け:拒絶査定
 2023年(令和5年) 9月19日  :審判請求書の提出
 
2 本願商標
 本願商標は、「SELFI」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなり、第9類「Recorded deep learning computer software for use with optical inspection tools.」を指定商品として、2021年(令和3年)9月17日にUnited States of Americaにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、国際商標登録出願されたものである。
 
3 引用商標
 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第2564093号の2商標(以下「引用商標」という。)は、「セルフィ」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなり、平成元年7月27日登録出願、同5年8月31日に設定登録された登録第2564093号商標について、同19年3月2日に商標権の分割移転の登録がされた結果、指定商品を第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」として、現に有効に存続しているものである。
 
4 当審の判断
(1)本願商標について
 本願商標は、上記2のとおり、「SELFI」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、当該文字は辞書等に載録されている既成の語ではなく、直ちに特定の意味合いを想起させるともいい難いから、特定の観念を生じない一種の造語として看取されるものである。
 そして、欧文字からなる特定の観念を生じない造語にあっては、我が国において親しまれているローマ字読み又は英語の読みに倣って称呼するのが自然である。
 したがって、本願商標は、その構成文字に相応して「セルフィ」又は「セルファイ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
 引用商標は、上記3のとおり、「セルフィ」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、当該文字は辞書等に載録されている既成の語ではなく、直ちに特定の意味合いを想起させるともいい難いから、特定の観念を生じない一種の造語として看取されるものである。
 したがって、引用商標からは、「セルフィ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
 本願商標と引用商標は、前記(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ、本願商標と引用商標とは、外観においては、文字種が異なるものであるから、両商標は、外観上、判然と区別し得るものである。
 次に、称呼においては、本願商標は、「セルフィ」又は「セルファイ」の称呼を生じるのに対し、引用商標は、「セルフィ」の称呼を生ずるところ、両者の称呼は、「セルフィ」の称呼を共通にする場合があるものの、「セルファイ」の称呼と比較すると、音構成等に明らかに差異を有するものであるから、明瞭に聴別できるものである。
 そして、観念においては、本願商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、両者は、観念上、比較することができない。
 そうすると、本願商標と引用商標とは、観念については比較できないものの、外観については判然と区別し得るものであり、称呼については同じ場合だけでなく、異なる場合もあるから、これらが取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に勘案すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(4)まとめ
 以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標ではないから、その指定商品について比較するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
 したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、取消しを免れない。
 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。


        令和 6年 6月17日

     審判長  特許庁審判官 大島 勉
          特許庁審判官 小林 裕子
          特許庁審判官 浦崎 直之

 
 
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〔審決分類〕T18  .261-WY (W09)
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上記はファイルに記録されている事項と相違ないことを認証する。
認証日 令和 6年 6月17日  審判書記官  齊藤 葉月