理 由 |
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1 手続の経緯 |
本願は、2022年(令和4年)1月5日に国際商標登録出願されたものであって、その手続の経緯の概略は以下のとおりである。 |
2022年(令和4年) 9月 5日付け:暫定拒絶通報 |
2023年(令和5年) 1月13日 :意見書の提出 |
2023年(令和5年) 6月 1日付け:拒絶査定 |
2023年(令和5年) 9月19日 :審判請求書の提出 |
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2 本願商標 |
本願商標は、「SELFI」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなり、第9類「Recorded deep learning computer software for use with optical inspection tools.」を指定商品として、2021年(令和3年)9月17日にUnited States of Americaにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、国際商標登録出願されたものである。 |
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3 引用商標 |
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第2564093号の2商標(以下「引用商標」という。)は、「セルフィ」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなり、平成元年7月27日登録出願、同5年8月31日に設定登録された登録第2564093号商標について、同19年3月2日に商標権の分割移転の登録がされた結果、指定商品を第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」として、現に有効に存続しているものである。 |
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4 当審の判断 |
(1)本願商標について |
本願商標は、上記2のとおり、「SELFI」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、当該文字は辞書等に載録されている既成の語ではなく、直ちに特定の意味合いを想起させるともいい難いから、特定の観念を生じない一種の造語として看取されるものである。 |
そして、欧文字からなる特定の観念を生じない造語にあっては、我が国において親しまれているローマ字読み又は英語の読みに倣って称呼するのが自然である。 |
したがって、本願商標は、その構成文字に相応して「セルフィ」又は「セルファイ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 |
(2)引用商標について |
引用商標は、上記3のとおり、「セルフィ」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、当該文字は辞書等に載録されている既成の語ではなく、直ちに特定の意味合いを想起させるともいい難いから、特定の観念を生じない一種の造語として看取されるものである。 |
したがって、引用商標からは、「セルフィ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 |
(3)本願商標と引用商標との類否について |
本願商標と引用商標は、前記(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ、本願商標と引用商標とは、外観においては、文字種が異なるものであるから、両商標は、外観上、判然と区別し得るものである。 |
次に、称呼においては、本願商標は、「セルフィ」又は「セルファイ」の称呼を生じるのに対し、引用商標は、「セルフィ」の称呼を生ずるところ、両者の称呼は、「セルフィ」の称呼を共通にする場合があるものの、「セルファイ」の称呼と比較すると、音構成等に明らかに差異を有するものであるから、明瞭に聴別できるものである。 |
そして、観念においては、本願商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、両者は、観念上、比較することができない。 |
そうすると、本願商標と引用商標とは、観念については比較できないものの、外観については判然と区別し得るものであり、称呼については同じ場合だけでなく、異なる場合もあるから、これらが取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に勘案すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 |
(4)まとめ |
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標ではないから、その指定商品について比較するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 |
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、取消しを免れない。 |
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 |
よって、結論のとおり審決する。 |