理 由 |
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第1 本願商標及び手続の経緯 |
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第3類、第18類及び第25類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品を指定商品として、2020年(令和2年)11月4日にSwitzerlandにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同月11日に国際商標登録出願されたものである。 |
本願は、2021年(令和3年)11月16日付けで暫定拒絶の通報がされ、令和4年(2022年)2月25日付けで意見書が提出されたが、2023年(令和5年)2月28日付けで拒絶査定され、これに対し、令和5年(2023年)6月19日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 |
なお、本願の指定商品は、2021年(令和3年)5月25日に効力発生の国際登録簿に記録された取消しの通報により、第3類「Non-medicated toiletry preparations and cosmetic products; non-medicated dentifrices; perfumery products, essential oils; bleaching preparations and other substances for laundry use; cleaning, polishing, degreasing and abrasive preparations.」、第18類「Leather and imitations of leather; animal skins; umbrellas and parasols; walking sticks; whips, harness and saddlery; collars, leashes and clothing for animals.」及び第25類「Clothing, footwear, headwear.」とされた。 |
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第2 引用商標 |
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した商標は、以下の1及び2に記載のとおりの登録商標であり、これらの商標権は、現に有効に存続しているものである。 |
1 登録第4103864号商標 |
商標の構成:別掲2のとおり |
登録出願日:平成8年5月22日 |
設定登録日:平成10年1月16日 |
指定商品:第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,靴下,スカーフ,手袋,ネクタイ,ずきん,帽子」 |
2 登録第4947566号商標 |
商標の構成:別掲3のとおり |
登録出願日:平成17年6月30日 |
設定登録日:平成18年4月21日 |
指定商品:第24類「織物(畳べり地を除く。),メリヤス生地,フェルト及び不織布,ゴム引防水布,ビニルクロス,レザークロス,ろ過布,布製身の回り品,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,シャワーカーテン,のぼり及び旗(紙製のものを除く。)」 |
以下、上記1及び2をまとめて「引用商標」という。 |
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第3 原査定の拒絶理由の要旨 |
原査定は、本願商標の構成中の「CLICK」の欧文字と引用商標とは外観において近似した印象を与え、称呼及び観念を同一にするものであるから、本願商標と引用商標は類似の商標であり、また、本願の指定商品は引用商標の指定商品と同一又は類似するものであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 |
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第4 当審の判断 |
本願商標は、別掲1に示すとおり、上段に「Z」の欧文字とその横に黒丸を縦に2個並べたもの(以下「Z:」という。)を太字で大きく書し、下段に「CLICK」の欧文字を、「Z:」と横幅を同じくし、「Z:」よりも小さく横書きした構成からなる結合商標であるところ、本願商標の構成文字全体より生じ得る「ゼットクリック」の称呼は、よどみなく一連に称呼し得るものである。 |
また、本願商標の構成中の「Z:」が、本願の指定商品との関係において、商品の品番や型式等を表示するものである等、自他商品の識別標識としての機能を有さないと判断すべき特段の事情はない。 |
そして、本願商標の構成中の「Z:」は、特定の意味合いを想起させるものではなく、「CLICK」の欧文字は、「「カチッ」[カチャッ]と音がする」(大修館書店発行「ベーシックジーニアス英和辞典 第2版」)などの意味を有する語であるところ、これらを結合した「Z:CLICK」の文字は、本願の指定商品の品質等を表示するなど自他商品の識別標識としての機能を有さないと判断するべき特別な事情はなく、全体として、特定の意味合いを有しない造語と認識されるものである。 |
そうすると、本願商標は、外観上、上段の「Z:」が強く支配的な印象を与えるものであり、当該部分が、自他商品の識別標識としての機能を有さないと判断すべき特段の事情はなく、また、本願商標の構成文字全体から生じる「ゼットクリック」の称呼はよどみなく一連に称呼し得るものであることからすると、本願商標に接する取引者、需要者が、殊更に「Z:」を捨象し、下段の「CLICK」の欧文字のみに着目し、商取引に当たるとは考え難い。 |
したがって、本願の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものを含むとしても、本願商標の構成中の「CLICK」の欧文字のみを分離、抽出し、その上で本願商標と引用商標とが類似する商標であるとして、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、取消しを免れない。 |
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 |
よって、結論のとおり審決する。 |