理 由 |
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1 本願商標及び手続の経緯 |
本願商標は、「KOURO」の欧文字を横書きしてなり、第33類「Spirits; distilled beverages; sake; whiskey.」を指定商品として、2022年(令和4年)2月9日に国際商標登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 |
本願は、2022年(令和4年)12月22日付けで暫定拒絶通報がされ、令和5年6月21日付けで意見書の提出があり、同年7月26日付けで拒絶査定がされたものであり、これに対して、同年11月9日付けで本件拒絶査定不服審判の請求がなされた。 |
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3 引用商標 |
本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第119461号商標(以下「引用商標」という。)は、「香露」の漢字を縦書きしてなり、大正9年5月31日に登録出願、第38類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同年8月17日に設定登録され、その後、平成12年7月19日に指定商品を、第33類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。 |
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4 当審の判断 |
(1)本願商標について |
本願商標は、「KOURO」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、「コウロ」と発音できる何らかの語を表してなると理解できるが、直ちに特定の語に通じるものではなく、また、我が国で親しまれた外来語でもない。 |
そうすると、本願商標は、その構成文字に相応して、「コウロ」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。 |
(2)引用商標について |
引用商標は、「香露」の漢字を縦書きしてなるところ、その構成中「香」の文字部分は「におい。よいかおり。」の意味を、「露」の文字部分は「空気が冷えて露点以下に達し、大気中の水蒸気が地物の表面に凝結した水滴。」の意味を有する漢字(参照:「広辞苑 第7版」岩波書店)であるが、両文字を結合して具体的な意味を有する成語となるものではなく、各語の語義を結合した意味合いは漠然としており、具体的な意味合いを想起できるものではない。 |
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して、「コウロ」の称呼を生じ得るが、特定の観念は生じない。 |
(3)本願商標と引用商標の比較 |
本願商標と引用商標を比較すると、外観においては、その構成文字及び文字種などの差異により、同一の語を欧文字又は漢字で表記したものという関係にあるとも必ずしもいえず、互いに異なる語を表してなると看取できるから、外観において記憶に残る印象は相違し、判別は容易である。また、称呼においては、「コウロ」の称呼を共通にする。さらに、観念においては、いずれも特定の観念は生じないから、比較できない。 |
そうすると、両商標は、外観において判別は容易だから、称呼を共通にし、観念において比較できないとしても、これらを総合して考察すれば、同一又は類似の商品について使用するときであっても、出所の混同を生じるおそれはなく、類似する商標とは認められない。 |
(4)まとめ |
以上のとおり、本願商標は、引用商標とは同一又は類似する商標ではないから、その指定商品を比較するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当せず、同項同号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 |
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 |
よって、結論のとおり審決する。 |
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