審決


不服2023-650033

D-8-2, PUSAT PERNIAGAAN BUKIT SERDANG, JALAN BS 14/3, TAMAN BUKIT SERDANG 43300 SERI KEMBANGAN SELANGOR(MR)
 請求人
THZ (M) SDN BHD
  
大阪府大阪市西区江戸堀1-9-11 アイプラス江戸堀2階
 代理人弁理士
マークス国際弁理士法人
  
大阪府大阪市西区江戸堀1-9-11アイプラス江戸堀2階 マークス国際弁理士法人
 代理人弁理士
三上 真毅
  


 国際登録第1620078号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。



 結 論
  
 原査定を取り消す。
 本願商標は、登録すべきものとする。



 理 由
  
1 手続経緯
 本願は、2021年(令和3年)7月13日に国際商標登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
 2022年(令和4年)7月15日付け:暫定拒絶通報
 2023年(令和5年)1月31日付け:拒絶査定
 2023年(令和5年)5月 8日  :審判請求書の提出
 
2 本願商標
 本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第11類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品を指定商品として、国際商標登録出願されたものである。
 
3 原査定の拒絶の理由
 原査定は、「本願商標は、国際登録第859859商標(以下「引用商標」という。)と同一又は類似の商標であって、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
 そして、引用商標は、「THZ」の文字を横書きしてなり、2005年(平成17年)1月27日にドイツにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年6月17日に国際商標登録出願、第11類及び第40類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成18年12月28日に設定登録されたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
 
4 当審の判断
(1)本願商標について
 本願商標は、別掲のとおり、上段に四角状の図形を配し、その下に横書きした「0.96THz」の文字を配した構成からなるものであり、当該図形部分と文字部分とは、上下に重なり合うことなく配されており、図形と文字という構成要素を異にするため、両者は視覚上分離して観察されるものであって、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではない。
 そうすると、本願商標は、その構成中、図形部分又は文字部分を分離、抽出し、いずれかの部分のみを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。
 そして、本願商標の文字部分について、「THz」の文字は、請求人の提出に係る証拠及び職権による調査によれば、「テラヘルツ」と発音され、「周波数や振動数の単位」を表す語と認められる。
 また、本願商標の文字部分の「0.96」と「THz」の文字とは、文字種が異なるとしても、同書、同大でまとまりよく一体に表され、文字部分全体として「0.96テラヘルツの周波数や振動数」といった意味合いを認識させるものであって、これより生じる「レーテンキューロクテラヘルツ」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。
 そうすると、本願商標の構成中、文字部分については、一体不可分のものとして認識されるというべきである。
 してみると、本願商標は、その構成中、「0.96THz」の文字部分から、「レーテンキューロクテラヘルツ」の称呼を生じ、「0.96テラヘルツの周波数や振動数」の観念を生じるものである。
(2)引用商標について
 引用商標は、「THZ」の文字を横書きしてなるところ、構成文字に相応して、「テイエイチゼット」の称呼が生じるが、特定の観念は生じないものである。
(3)本願商標と引用商標の比較
 本願商標と引用商標を比較すると、まず、全体の外観においては、図形部分の有無という顕著な差異を有するものであり、本願商標の文字部分と引用商標との比較においても、両者はその構成中に「THz(THZ)」の文字を含む点を共通にするとしても、語頭の「0.96」の数字の有無から、視覚上の差異は大きく、両商標は、外観において明らかに区別できるものである。
 次に、称呼及び観念について検討すると、本願商標からは「レーテンキューロクテラヘルツ」の称呼及び「0.96テラヘルツの周波数や振動数」の観念を生じる一方、引用商標は「テイエイチゼット」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものであり、称呼及び観念においても明らかに区別できるものである。
 したがって、両商標は、外観、称呼及び観念において明らかに区別できるものであり、これらを総合して全体的に考察すれば、互いに紛れるおそれのない非類似の商標とみるのが相当である。
(4)まとめ
 以上のとおり、本願商標は引用商標とは非類似の商標であるから、指定商品の類否について検討するまでもなく、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
 したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。


        令和 6年 8月 9日

     審判長  特許庁審判官 山田 啓之
          特許庁審判官 渡邉 あおい
          特許庁審判官 深田 彩紀子

 
別掲 本願商標
 
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〔審決分類〕T18  .26 -WY (W11)

上記はファイルに記録されている事項と相違ないことを認証する。
認証日 令和 6年 8月 9日  審判書記官  荒川 香奈子