理 由 |
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1 手続の経緯 |
本願は、2021年(令和3年)10月20日にUnited States of Americaにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2022年(令和4年)4月20日に国際商標登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 |
2023年(令和5年) 3月14日付け:暫定拒絶通報、拒絶理由通知書(国内) |
2023年(令和5年) 7月13日 :意見書の提出 |
2023年(令和5年)10月11日付け:拒絶査定 |
2024年(令和6年) 1月24日 :審判請求書の提出 |
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2 本願商標 |
本願商標は、別掲1のとおり、「THE STORYTELLER」の欧文字を横書きしてなり、第28類「Kits featuring children's educational toys for developing reading and math skills, problem solving, imaginative play, emotional intelligence, and engineering concepts.」を指定商品として、国際商標登録出願されたものである。 |
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3 引用商標 |
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した国際登録第1411464号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、2017年(平成29年)10月31日国際商標登録出願、第9類、第35類及び第39類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和元年(2019年)11月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 |
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4 原査定の拒絶の理由(要旨) |
原査定は、引用商標の構成中、「STORYTELLER」の文字部分を分離抽出し、これと本願商標とが類似するから、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとしたものである。 |
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5 当審の判断 |
引用商標は、別掲2のとおり、「CINEMOOD」の文字(2つの「O」は、それぞれ赤色と青色の2色で表されている。)と「STORYTELLER」の文字を上下二段に横書きした構成よりなるところ、上段の「CINEMOOD」の文字は、一般的な辞書類に掲載のない造語であり、これが特定の意味合いを想起させるというべき事情は見当たらないものである。 |
また、下段の「STORYTELLER」の文字は、「物語を話す人」(出典:株式会社大修館書店「ジーニアス英和辞典 第六版」)等を意味する英単語である。 |
そして、「CINEMOOD」と「STORYTELLER」の両文字部分は、文字の太さや一部の文字の色彩に差異を有するものの、近接して、まとまりよく表されており、その構成文字全体から生ずる「シネムードストーリーテラー」の称呼は、格別冗長というべきものでなく、無理なく一連に称呼し得るものである。 |
さらに、構成中の「CINEMOOD」の文字部分は、自他商品の識別標識としての機能がないか低いというものではなく、その他に、「STORYTELLER」の文字部分が強く支配的な印象を与えるというべき事情も見当たらない。 |
そうすると、引用商標は一連一体のものとして理解、認識されるというべきであり、これより「シネムードストーリーテラー」の称呼のみが生じ、特定の観念が生じるとはいえないものである。 |
したがって、引用商標の構成中、「STORYTELLER」の文字部分を分離抽出し、これを前提に、本願商標と引用商標とが類似するものとして、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、取消しを免れない。 |
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 |
よって、結論のとおり審決する。 |