理 由 |
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1 手続の経緯 |
本願は、2022年(令和4年)1月18日に国際商標登録出願(事後指定)されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 |
2022年(令和4年)11月 7日付け:暫定拒絶通報 |
2023年(令和5年) 2月14日 :意見書の提出 |
2023年(令和5年) 8月15日付け:拒絶査定 |
2023年(令和5年)12月 1日 :審判請求書の提出 |
2024年(令和6年) 6月13日付け:審尋 |
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2 本願商標 |
本願商標は、「ISOCODE」の欧文字を横書きしてなり、第1類「Cellular assay for detecting analytes for research purposes.」を指定商品として、国際商標登録出願されたものである。 |
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3 原査定の拒絶の理由(要旨) |
(1)商標法第3条第1項第6号について |
本願商標は、「ISOCODE」の欧文字を横書きしてなるところ、これは、国際標準化機構の著名な略称である「ISO」の文字及び「情報を表現する記号・符号の体型」の意味を有する英語である「CODE」の文字からなるものといえ、全体として、「国際標準化機構によるコード」程の意味合いを認識させるものとみるのが相当である。 |
そして、様々な商品に対してISOによる規格化(コード化)がされ、また、そのようなコードが使用されていることからすると、本願商標をその指定商品に使用しても、需要者・取引者は、当該商品にISOによるコードが付与されている程度に理解するものといえ、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とみるのが相当である。 |
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。 |
(2)商標法第4条第1項第6号について |
本願商標は、「ISOCODE」の欧文字を横書きしてなるものであって、その構成中に、工業製品・部品・使用技術の規格統一を推進するための国際機関である「国際標準化機構(International Organization for Standardization)」の著名な略称である「ISO」の文字を顕著に有するものであるから、これを同機構以外の者が使用した場合には、同機構の権威、信用の尊重に影響を与えるものであり、また、同機構との出所の混同を生じさせるものとみるのが相当である。 |
したがって、本願商標は、公益に関する団体であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと類似の商標というのが相当であるから、商標法第4条第1項第6号に該当する。 |
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4 当審における審尋 |
当審において、2024年(令和6年)6月13日付け審尋により、別掲1及び別掲2に掲げる事実を提示した上で、本願商標が、その指定商品との関係において、商標法第3条第1項第6号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。 |
請求人は、当該審尋に対し、指定した期間を経過するも、何ら回答していない。 |
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5 当審の判断 |
本願商標は、「ISOCODE」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成中、「ISO」の文字部分は、「工業製品・部品・使用技術の規格統一を推進するための国際機関」である「国際標準化機構(International Organization for Standardization)」の著名な略称を、「CODE」の文字部分は、「情報を表現する記号・符号の体系。また、情報伝達の効率・信頼性・守秘性を向上させるために変換された情報の表現、また変換の規則。」(いずれも出典は、株式会社岩波書店「広辞苑第七版」)等の意味をそれぞれ表すものであり、別掲1に挙げるとおり、「ISOCODE」又は「CODE」の文字部分を片仮名の「コード」で表記した「ISOコード」の語が、例えば、「ISOで規定する各種コード類全般のことであるが、情報処理分野ではASCIIに基づくISO標準文字コードを指す」等の意味を表す語として、各種辞書に載録されていることが認められるものである。 |
そして、別掲2のインターネット情報や再公表特許公報にもあるとおり、実際に、ISOで規定する各種コード類や情報処理分野におけるASCIIに基づく標準文字コードを表すものとして、「ISOCODE」又は「ISOコード」の文字が使用されている事実が確認できる。 |
そうすると、本願商標は、「ISOで規定する各種コード類や情報処理分野におけるASCIIに基づく標準文字コード」である「ISOCODE」の文字を普通に用いられる方法で表示したものと理解、認識されるにすぎないものとみるのが相当である。 |
してみれば、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品が、「ISOで規定する各種コード類」に対応した商品若しくは「ISOで規定する各種コード類や情報処理分野におけるASCIIに基づく標準文字コード」に関連する商品であることを認識、理解するにとどまり、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものというべきである。 |
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、その他の拒絶の理由について検討するまでもなく、登録することができない。 |
よって、結論のとおり審決する。 |
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別掲1 各種辞書における「ISO CODE」又は「ISOコード」の語の意味について |
(1)「Weblio辞書」のウェブサイト |
「コンピューター用語辞典での「iso code」の意味」として、「ISOコード」「一般にはISOで規定する各種コード類全般のことであるが、情報処理分野ではASCIIに基づくISO標準文字コードを指す」の記載がある。 |
https://ejje.weblio.jp/content/iso+code |
(2)同ウェブサイト |
「デジタル大辞泉 小学館」において、「イソ-コード【ISOコード】」として、「読み方:いそこーど」「ISO(国際標準化機構)が定めた文字コード(文字符号化方式)の規格の通称。正式名称はISO/IEC 646。米国のASCII(アスキー)を基とし、7ビット単位で符号化される。」の記載がある。 |
https://www.weblio.jp/content/ISO%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89 |
(3)「コトバンク」のウェブサイト |
「精選版 日本国語大辞典「ISOコード」の意味・読み・例文・類語」において、「イソ-コード【ISOコード】」として、「名詞(コードは[英語]code)ISO(国際標準化機構)が定めたコンピュータの情報交換用の標準符号。」の記載がある。 |
https://kotobank.jp/word/ISO%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89-432769 |
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別掲2 ISOで規定する各種コード類や情報処理分野におけるASCIIに基づく標準文字コードを表すものとして、「ISOCODE」又は「ISOコード」の文字が使用されていることがうかがえる参考情報(下線は当審が付した。) |
(1)「AppleScriptの穴」のウェブサイト |
「ISOコードから国名を取得」の見出しの下、「ISOコード(ISO 3166-1 Alpha-2 code)で示した国の名称を取得するAppleScriptです。」の記載がある。 |
http://piyocast.com/as/archives/8769 |
(2)「Webアプリケーション開発の技術情報」のウェブサイト |
「日本の都道府県コード」の見出しの下、「ISO 3166-2」「ISOコード」の記載がある。 |
https://so-zou.jp/web-app/tech/data/code/japanese-prefecture.htm |
(3)「SAP Help Portal」のウェブサイト |
「SAPコードのISOコードへの置き換え」の見出しの下、「ISOコードには、国コード、通貨コード、数量単位、および出荷指図に対するものがあります。利用可能な場合には、SAP設計ガイドラインにしたがって、IDOCに対してISOコードを使用する必要があります。IDOCを設定する場合には、SAPコードをISOコードに置き換える必要があります。これを行うには、以下に示す汎用モジュールを使用します。」の記載がある。 |
https://help.sap.com/doc/saphelp_nw70/7.0.12/ja-JP/78/21781751ce11d189570000e829fbbd/content.htm?no_cache=true |
(4)「Google Playブックスパートナーセンターヘルプ」のウェブサイト |
「国のリストのフォーマット」の見出しの下、「パートナーセンターまたはスプレッドシートに国のリストを指定する必要がある場合は、次のガイドラインに沿って指定してください。・個々の国は2文字のISOコードで指定します。」の記載がある。 |
https://support.google.com/books/partner/answer/3122132?hl=ja |
(5)「国名コード検索」のウェブサイト |
「世界各国・地域のFIFAコード、IOCコード、ISOコードおよび国別トップレベルドメインを検索・表示します。」の記載がある。 |
https://freefielder.jp/country_code/ |
(6)「SSL.com」のウェブサイト |
「承認された国コードリスト」の見出しの下、「SSL.comは米国法に準拠しているため、次の3166文字のISO-XNUMX国コードを受け入れます。証明書署名要求では、必ず次の国際国コードのいずれかを使用してください(CSR)SSL.com証明書登録者の原産国に対応します。」の記載とともに、「ISOコード CSR」の記載がある。 |
https://www.ssl.com/ja/%E5%9B%BD%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89/ |
(7)「forvo」のウェブサイト |
「利用可能言語一覧」「以下はForvoで現在利用可能な言語とそれぞれのISOコード、および母語による言語名です」の記載がある。 |
https://ja.forvo.com/languages-codes/ |
(8)「株式会社ジーシー」のウェブサイト |
「ダイヤモンドバー(一般医療機器)」の商品カタログにおいて、「シャンク種類/ISOコード」の記載がある。 |
https://www.gc.dental/japan/sites/japan.gc.dental/files/products/downloads/meisingerdiamondbur/%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88/MeisingerDiamondBur_20221120.pdf |
(9)「ORIST(地方独立行政法人 大阪産業技術研究所)」のウェブサイト |
「パソコンとNC工作機械の接続 No.98020」の見出しのPDF資料において、「シリアル通信のためパソコンおよびNC工作機械で設定しなければならない通信パラメータとして、伝送速度(bps)、データ長(7,8)、ストップビット(1,2)、パリティ(N,E,O)、文字コード(ASCII,ISO,EIA)などがあります。パリティはISOコードが偶数パリティ(Even)、EIAは奇数パリティ(Odd)で、コントロールコードは偶数パリティで扱います。このパラメータはNC側とパソコン側で同一設定とするのが基本ですが、たまに見る設定例としてNC側(ISOコード、8ビットデータ、パリティなし)、パソコン側(ASCIIコード、7ビットデータ、パリティEVEN)があります。これは一見異なる設定のように見えますが、ISOコードはパリティEvenであり、送信データは最下位ビットから順に送られるため、結果として同一のデータが生成されていることになります。・・・研究所では、パソコンからNC工作機械にデータを送信するためのプログラムを開発しました。このプログラムはNCデータを文字(ASCIIコード)として扱い、NCに送信する際にISOコードやEIAコードに変換します。」の記載がある。 |
https://orist.jp/technicalsheet/98020.PDF |
(10)「野村総合研究所(NRI)」のウェブサイト |
「資産管理信託銀行データディスクローズシステムネットワーク」の見出しの下、「2.標準データフォーマットの採用」の項目において、「開示用データのフォーマットには、将来の発展性を見越した標準的な形式を採用しています。これは特定の分析・管理系システム用のものではなく、より汎用的にさまざまなシステムに利用できることを目指して制定されたものです。コード類も各社にわかりやすい一般的なものを標準としています。」「銘柄コード:ISINコード 業者コード:BICまたは証協コード 国/通貨:ISOコード」の記載がある。 |
https://www.nri.com/jp/service/solution/fis/syntax |
(11)「インテクノス・ジャパン(INTECHNO)」のウェブサイト |
「ISO等級(ISO4406)(JISB9933)」の見出しの下、「油圧-作動油-固体微粒子に関する汚染度のコード表示」「試料1ml(LCM20では100ml)当たりの粒子数をカウント(数値は累積)することにより、流体中の汚染物質分布状況を表す汚染度コードの国際規格です。」の記載とともに、「ISOコード表」「ISO Code=17/15/13」の記載がある。 |
https://www.intechno.co.jp/information/techinfo/iso4406/ |
(12)「ENEOS」のウェブサイト |
「ISO4406規格に対応した自動微粒子計数器」の見出しのPDF資料における「1.はじめに」の項目において、「潤滑油は、使用時間が長引くにつれて、摩耗粉や外部のごみなどを取り込んで次第に汚れてくる。この汚れ具合(汚染度)は、潤滑油の使用管理基準のひとつの指標となる。・・・欧州ではISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)が定めたISO4406規格の汚染度コード(以下ISOコード)が使用されてきた。・・・こうした中、当試験分析センターでは、従来のNAS等級用専用機に代えて、NAS等級にもISOコードにも対応可能な自動微粒子計数器を導入した。・・・また、ISOコードは、潤滑油ばかりでなく燃料油の品質確認にも使用されるようになってきた。ジェット燃料のISOコードによる汚染度規格についても、触れることにする。」の記載がある。 |
https://www.eneos.co.jp/company/rd/technical_review/pdf/vol51_no01_09.pdf |
(13)「株式会社テクノサポート」のウェブサイト |
「IOW遠心オイルセパレーター」の見出しの下、「ISO清浄度コードは、オイルがまだ使用目的に合っているかどうかを示し、また、オイルの品質を向上させることでエンジンの寿命をどのように延ばすことができるかを予測することもできます。ISO清浄度コードは潤滑油内の汚染レベルを示し、粒子数などのデータが含まれます。・・・国際規格であるISO等級はInternational Organization for Standardization 4406と呼ばれています。現在の世界標準で、JIS(JISB9933:油圧―作動油―固体微粒子に関する汚染度のコード表示)も準拠しています。」の記載とともに、「ISOコード」「最初の左端結果である2021/5/12の値を見てみるとISOコードは24/22/17となっています。」の記載がある。 |
https://www.technosupport.co.jp/iow/ |
(14)「Donaldson」のウェブサイト |
「ISO清浄度コードについて」の見出しの下、「ISO清浄度コードは、国際標準ISO4406:2017から派生しています。ISOコードは3セットの数値で示されます。」の記載がある。 |
https://www.donaldson.com/ja-jp/engine/filters/technical-articles/understanding-iso-cleanliness-codes/ |
(15)「ジャパン・アナリスト株式会社」のウェブサイト |
「汚染度(計数法)NAS等級の分析終了のお知らせ」の見出しのPDF資料における「(3)今後の汚染度(計数法)について」の項目において、「代替え試験法として、ISOコードを用いた汚染度(計数法)ISOコード:ISO4406に変更をお願いいたします。」の記載がある。 |
https://www.japan-analysts.com/news/pdf/news_20190418_1_01.pdf |
(16)「J-PlatPat 特許情報プラットフォーム」のウェブサイト |
「【公報種別】再公表特許(A1) |
(11)【国際公開番号】WO2018/212364 |
(43)【国際公開日】平成30年11月22日(2018.11.22) |
【発行日】令和2年3月19日(2020.3.19) |
【発明の名称】潤滑油汚染診断法」 |
(54)【発明の名称】潤滑油汚染診断法」 |
・・・ |
(57)【要約】潤滑油をろ過したメンブランパッチの色パラメータを取得し、潤滑油中に含まれる粒子の粒径を計測してISOコードを取得し、ISOコード又は下記式:【数1】1c=f(a,b,c)(式中、f(a、b、c)はa、b、及びcを変数とする関数であり、a、b、cはISOコードa/b/cで表され、aは4μm以上の粒子数のコード、bは6μm以上の粒子数のコード、cは14μm以上の粒子数のコードである)で求めた汚染度指数Icと、メンブランパッチの色パラメータと、を複合化させた潤滑油汚染形態図を作成し、潤滑油の汚染を評価する潤滑油汚染診断法。」の記載がある。 |
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2018-212364/19/ja |
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(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
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審判長 大森 友子 |
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。 |