理 由 |
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1 本願商標及び手続の経緯 |
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第9類及び第42類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品及び役務を指定商品及び指定役務として、2022年(令和4年)4月29日に国際商標登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 |
本願は、2023年(令和5年)3月27日付け暫定拒絶通報がされ、2023年(令和5年)10月23日付けで拒絶査定がされたものである。 |
これに対して、令和6年1月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものであり、指定商品及び指定役務について、当審における同日付けの手続補正書により、第9類「Apparatus for recording, transmission or reproduction of sound; loudspeakers; loudspeaker cabinets; loudspeaker installations; loudspeaker drive units; headphones; microphones; amplifiers.」及び第42類「Engineering design services, in particular design and development of apparatus for recording, transmission or reproduction of sound, especially in the field of loudspeakers, head-phones, microphones, loudspeaker drive units, amplifiers.」に補正されたものである。 |
また、2024年(令和6年)3月7日に所有権移転通報及び2024年(令和6年)4月19日に名義人名等変更通報がなされたものである。 |
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2 原査定の拒絶の理由の要点 |
(1)商標法第4条第1項第11号について |
本願商標は、登録第5419578号商標(以下「引用商標1」という。)及び登録第5876424号商標(以下「引用商標2」という。)と同一又は類似の商標であって、その商標登録に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 |
(2)商標法第4条第1項第15号について |
本願商標は、ドイツ国在のCoda Audio GmbHが、スピーカーについて使用して、世界的に広く知られているものであるから、本願商標が第42類の指定役務(主に、スピーカーや音響装置の設計及び開発に関する役務)に使用された場合には、その役務があたかも前記会社又は前記会社と密接な営業上の関係等を有する者の業務に係る役務であるかのように、その役務の出所について混同を生じさせるおそれがある。 |
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 |
(3)商標法第4条第1項第19号について |
本願商標は、ドイツ国在のCoda Audio GmbHの業務に係る商品(スピーカー)を表示するものとして、当該国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的、例えば、不正の利益を得る目的、上記会社に損害を加える目的その他の不正の目的をもって出願されたものと認められるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。 |
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3 当審の判断 |
(1)商標法第4条第1項第11号について |
本願商標は、上記1のとおり、請求人(出願人)の名義が変更された結果、引用商標1の商標権者と同一人となった。 |
また、本願商標は、その指定商品及び指定役務について、上記1のとおり手続補正書が提出された結果、引用商標2の指定商品と同一又は類似の商品はすべて削除されたものと認められる。 |
その結果、本願の指定商品及び指定役務は、引用商標2の指定商品と類似しない商品になったものと認められる。 |
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定の拒絶の理由は解消した。 |
(2)商標法第4条第1項第15号及び同第19号について |
本願商標は、上記1のとおり、請求人(出願人)の名義が変更された結果、本願商標の請求人(出願人)は、前記2(2)及び(3)の拒絶理由中に示したCoda Audio GmbHと同一人になった。 |
そうすると、本願商標をその指定役務に使用した場合、その役務の出所について、混同を生ずるおそれはなくなったものである。 |
また、本願商標は、不正の目的をもって出願されたものであるということはできない。 |
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第15号及び同第19号に該当するとした原査定の拒絶の理由は解消した。 |
(3)まとめ |
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号のいずれにも該当しない。 |
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 |
よって、結論のとおり審決する。 |
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