理 由 |
|
1 手続の経緯 |
本願は、2021年(令和3年)11月19日に国際商標登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 |
2022年(令和4年)11月11日付け:暫定拒絶通報 |
2023年(令和5年) 3月23日 :意見書、手続補正書の提出 |
2023年(令和5年)12月12日付け:拒絶査定 |
2024年(令和6年) 4月18日 :審判請求書、手続補正書の提出 |
2024年(令和6年) 7月10日 :基礎出願又は基礎登録の効力の一部終了 |
|
2 本願商標 |
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第25類及び第35類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品及び役務を指定商品及び指定役務として、国際商標登録出願されたものである。その後、本願の指定商品及び指定役務については、原審及び当審における上記1の手続補正書、当審における2024年(令和6年)7月10日付けで国際登録簿に記録された基礎出願又は基礎登録の効力の一部終了があった結果、最終的に、第25類「Headwear, namely, caps and hats.」とされたものである。 |
|
3 原査定の拒絶の理由(要旨) |
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の(1)ないし(3)であり、いずれも現に有効に存続しているものである。 |
(1)登録第3048489号商標(以下「引用商標1」という。) |
商標の構成:別掲2のとおり |
指定商品:第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」 |
登録出願日:平成 4年 9月16日 |
設定登録日:平成 7年 6月30日 |
なお、商標権の一部取消し審判により、指定商品中、「ずきん、すげがさ、ナイトキャップ、帽子、防暑用ヘルメット」について取り消すべき旨の審決がされ、平成23年4月21日にその審決の確定登録がされている。 |
(2)登録第5236624号商標(以下「引用商標2」という。) |
商標の構成:別掲3のとおり |
指定役務:別掲4のとおり |
登録出願日:平成19年 6月25日 |
設定登録日:平成21年 6月 5日 |
(3)登録第5849259号商標(以下「引用商標3」という。) |
商標の構成:別掲5のとおり |
指定役務:別掲6のとおり |
登録出願日:平成27年 9月 3日 |
設定登録日:平成28年 5月13日 |
(以下、引用商標2及び3をまとめて「引用商標」ということがある。) |
|
4 当審の判断 |
(1)本願商標と引用商標1について |
本願の指定商品は、上記2のとおりに補正された結果及び基礎出願又は基礎登録の効力の一部が終了した結果、引用商標1の指定商品と同一又は類似の商品は全て削除され又は効力が終了したため、引用商標1の指定商品と類似しない商品になった。 |
したがって、本願商標は、引用商標1との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当しないものとなった。 |
(2)本願商標と引用商標2及び3について |
ア 本願商標について |
本願商標は、別掲1のとおり、略半円状の薄い灰色の図形の下に、山を模したような形状の上部を有するS字状の濃い灰色の図形(以下「図形部分」という。)を配し、その下に薄い灰色の「SUN」の文字と、濃い灰色の「DAY」の文字を上下二段に配し、さらにその下に「SUN」と「DAY」の文字と両幅を揃えるように小さく濃い灰色の文字で「AFTERNOONS」の欧文字を配した構成よりなるところ(以下「文字部分」という。)、図形部分と文字部分とは、相互に一定の間隔を空けて、重なり合うことなく、独立して表されていることから、視覚上分離して看取し得るものである。 |
そして、図形部分は、その構成態様から特定の意味合いを想起させるとはいい難く、特定の称呼及び観念を生じないものである。 |
また、文字部分についてみるに、「SUN」の文字と「DAY」の文字は、色彩は異なるものの、同じ書体、同じ大きさで近接して表されており、その下の「AFTERNOONS」の文字部分も、「SUN」と「DAY」の文字とは大きさは異なるものの、両語と同じ文字種で両幅を揃えて表されていることから、まとまりよく一体的なデザインとして看取され、構成文字全体から生じる「サンデーアフタヌーンズ」の称呼も冗長とはいい難く、無理なく一連に称呼し得るものである。 |
さらに、文字部分のうち、「SUN」の文字と「DAY」の文字を一連に「SUNDAY」としたときは、当該文字は、「日曜日」を意味する英単語として我が国において広く親しまれているものであり、「AFTERNOONS」の文字は、「午後には(いつも)」程の意味を有する英単語として、辞書に載録されているものであるから(以上、出典は、株式会社研究社「新英和中辞典 第7版」)、文字部分全体として、「日曜日の午後には(いつも)」程の一連の観念を生じるものといえる。 |
そうすると、本願商標を構成する図形部分と文字部分の間には、称呼及び観念上のつながりもなく、両者を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえず、本願商標は、その構成中の図形部分と文字部分が、それぞれ独立して出所識別機能を有する要部となり得るものであることから、本願商標の文字部分である「SUNDAY AFTERNOONS」を要部として抽出し、他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。 |
したがって、本願商標は、その要部の一つである「SUNDAY AFTERNOONS」の文字部分(以下「本願商標の要部」という。)に相応して、「サンデーアフタヌーンズ」の称呼を生じ、「日曜日の午後には(いつも)」程の観念を生じるものである。 |
イ 引用商標 |
引用商標2は、別掲3のとおり、青色の「SUNDAY」の欧文字を横書きしてなり、引用商標3は、別掲5のとおり、青色の「サンデー」の片仮名を横書きしてなるところ、「SUNDAY」及び「サンデー」の文字は、「日曜日」(出典:株式会社岩波書店「広辞苑 第七版」)を意味する語として我が国において広く親しまれているものである。 |
そうすると、引用商標からは、その構成文字に相応して、「サンデー」の称呼及び「日曜日」程の観念が生じるものである。 |
ウ 本願商標と引用商標との類否について |
本願商標と引用商標とを比較すると、両者は、上記ア及びイのとおりの構成よりなるところ、外観について、両者は、その構成全体が相違することに加え、本願商標の要部と引用商標とを比較しても、両者は、外観上、明確に区別できるものである。 |
次に、称呼について、本願商標の要部と引用商標は、「サンデー」の音を共通にするものの、語尾の「アフタヌーンズ」の音の有無があり、両者の構成音数は11音と4音であることからすれば、その構成音数は明らかに相違し、両者は、称呼上、明瞭に聴別できるものである。 |
さらに、観念について、本願商標の要部からは、「日曜日の午後には(いつも)」程の観念が生じるものであるのに対し、引用商標は、「日曜日」程の観念が生じるものであって、両者は、観念上、相違するものである。 |
そうすると、本願商標と引用商標とは、外観において明確に区別できる上、称呼において明瞭に聴別でき、観念においても相違するものであるから、両者は、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。 |
エ 小括 |
上記ウのとおり、本願商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本願の指定商品と引用商標の指定役務とを比較するまでもなく、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 |
(3)まとめ |
上記(1)のとおり、本願商標と引用商標1との関係については、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした拒絶の理由は解消した。 |
また、上記(2)ウのとおり、本願商標と引用商標2及び3との関係については、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。 |
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 |
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 |
よって、結論のとおり審決する。 |