特許行政年次報告書2018年度版
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大学等における知的財産活動第4章特許行政年次報告書2018年版74体制から、組織的に対応できる体制を構築している。そのため、毎年の目標である知財収入も右肩上がりとなっており、ここ数年間の成果が現れているのではないかと分析している。グループの活動を知財収入のみで評価することは、別の課題を生じさせることになるが、技術移転活動は、研究資金の獲得や新しい共同研究先の発掘にも寄与しており、単なる収入を最終目的とするのではなく、大学全体のイノベーション活動推進のために、何が適切であるのか常に考えることができるのも、担当者が一気通貫の活動を行っていることによるものと考えている。4.新たな取組特許庁の色々な施策を活用し、大学内に構成されたコンソーシアムとの連携ができないか模索している。例えば、特許庁が行っている特許出願技術動向調査では、テーマ選定において大学の要望も考慮していただき、2016年度には「GaNパワーディバイス」や「繊維強化プラスチック」をまとめていただいているが、さらにコンソーシアム内に調査結果を展開するため、コンソーシアムの会員向けサービスの中で特許庁から特許出願技術動向調査の講演する機会を設けるなどの取組を始めている。また、出張面接や企業コンタクトのスキームを活用し、権利化面において特許庁審査官の知見を得つつ、逆に、大学における実際の研究や権利移転の現場の知見などを、特許庁における審査や施策立案にフィードバックできる環境を整備することで、両者がwin-winの関係を構築でき、これによって更に大学内のイノベーションが促進されることに期待したい。

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