特許行政年次報告書2018年度版
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分野別に見た国内外の出願動向第5章Column 3 特許行政年次報告書2018年版96自動走行システムの運転制御現在、日本では、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)課題の一つとして自動走行システムが挙げられており、産学官共同で、自動運転の実用化に向けた取組が行われている。また、欧米においても、自動走行システムに対する注目度は高く、自動車メーカーだけではなく、多くの企業が参画し、国家レベルでの研究開発も盛んに行われている。1.自動運転車の市場2017年末時点では、SAEレベル3以上1の自動運転車は販売されていないものの、今後急速な市場拡大が予測されている。2.自動走行システムの運転制御技術全体での特許出願動向いずれの国からも特許出願件数は増加傾向にあり、2014年の各国からの出願の合計件数も、2010年と比較して約2倍増加(2010年1,627件→2014年3,387件)2している。日本からの出願が最多であるが、外国から日本への出願は少ない状況となっている。3.課題別の特許出願動向 自動運転には様々な課題があり、特許出願も多くされている。課題面では安全性を課題とした特許出願の件数比率が最も高く(43.5%)3、件数推移も増加傾向にある。これは自動運転車を社会に導入するためには安全性の確保が重要であることを反映しているといえる。一方で、出願人国籍(地域)別で見ると、中国からの出願が最多(34.7%)4であるため、今後中国の研究開発動向を注視する必要がある。4.注目度の高い関連技術の特許出願動向自動運転技術の発展とともに、世界各国において、自動運転車を利用した移動サービス、物流サービスが広がっていくと予測されている。日本からサービスに関する出願も多くなされているが、物流サービスに関する出願は米国が最も多い結果となった。今後、日本のみならず国際的にもビジネスを行うことが可能なサービスを提供するため、世界での展開状況を注視しつつ、サービス提供に必要な技術開発を行うべきである。出願先国(地域)別-出願人国籍(地域)別の出願件数技術区分(サービス)別-出願人国籍(地域)別出願件数日本、米国、欧州、韓国、中国への出願、出願年(優先権主張年):2010~2015年1 SAEレベル3以上では、システムが限定領域内全ての運転タスクを実施する。システムの作動継続が困難な場合は、SAEレベル3ではシステムの介入要求等に対して、運転者が適切に応答することが期待されるが、SAEレベル4では期待されていない。2 日本、米国、欧州、韓国、中国への出願。3 日本、米国、欧州、韓国、中国への出願。出願年(優先権主張年)は2010~2015年。4 日本、米国、欧州、韓国、中国への出願。出願年(優先権主張年)は2010~2015年。日本米国欧州(ドイツ除く)ドイツ中国出願人国籍(地域)韓国日本米国欧州(ドイツ除く)ドイツ中国韓国その他3,9113,9113,9117171718888881521521527772929291111,2301,2301,2301,1981,1981,1981991991993913913913939391781781782121214404404402472472475105105105085085081414141111111616164934934934564564566666661,5991,5991,599555393939800800800451451451144144144324324324982982982161161161333999999464646414141414141222615615615333出願先国(地域)日本米国技術区分(サービス)出願人国籍(地域)自家用車公共交通カーシェアリング(タクシー含む)物流上記以外の自動運転アプリケーション保険欧州(ドイツ除く)ドイツ中国韓国その他353535141414222666888121212181818111333111222333171717101010111333111555666121212
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