特許行政年次報告書2018年度版
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Column 6 特許行政年次報告書2018年版99第4章第3章第2章第1部・知的財産をめぐる動向第1章第5章リハビリテーション機器世界に先駆けて超高齢社会を迎える日本では、老化や器質的障害により低下した身体的・心理的活動性を回復させ、自立性の向上やQOLの高い生活への復帰を目指すリハビリテーションへの要求が高まっている。また、慢性期のリハビリテーションについては、今後は、自宅等の病院外で専門家(医療従事者)の補助無しでリハビリテーションを実施する機会が増えることが見込まれるなど、リハビリテーションを取り巻く環境は大きな変化を迎えている。こうしたリハビリテーションを実現するための機器として、近年では、ロボット・センサ技術や音響映像技術を利用した機器が注目されている。1.市場規模とともに増加傾向にある特許出願リハビリテーション機器の世界市場規模は拡大傾向にある中、特許出願も増加傾向にあり、2011年以降伸びが大きくなっている。出願件数比率で最も高いのは米国からの出願であるが、近年は中国からの出願の増加も目立っている。2.ロボット・センサ技術や音響映像技術の利用効果的なリハビリテーションの実現や機器開発を促進するためには、機器の使用データの収集が鍵となる。本調査では、ロボット・センサ技術に関するファミリー件数において日本が数的優位にあることが分かった。こうした技術を活かして使用データの収集・活用を一層進めるとともに、機器とその運用方法との開発を両輪として、日本のリハビリテーション技術の優位性を高めていくことが期待される。また、将来増加が見込まれる自宅等でのリハビリテーションでは、利用者のモチベーションの維持・向上と、機器の効果的な使い方を遵守させることが課題となる。こうした課題に対して、プロジェクションマッピングを含む音響映像技術を応用する試みがなされているが、こうした音響映像技術や、利用者のモチベーションの維持・向上を目的とした技術に関するファミリー件数においても日本が数的優位にあることが分かった。(備考)2014年以降はデータベース収録の遅れやPCT出願の各国移行のずれ等で、全データを反映していない可能性がある。(左)要素技術:ロボットシステムとしてマニピュレータ技術を使用したもの(右)要素技術:物理計測センサにおける状態(圧力、重量、位置、傾きなど)計測技術出願人国籍(地域)別ファミリー件数(備考)ファミリー件数は日本、米国、欧州、中国、韓国、イスラエルへの出願の合計ファミリー件数である。開発目的・課題:利用者に関するもの出願人国籍(地域)別ファミリー件数出願人国籍(地域)別出願件数推移(日米欧中韓イスラエルへの出願)出願人国籍(地域)「接触部位負荷」「装着感、違和感」「有効性・機能回復」「バランス」「正確性」「生活向上・改善」「非侵襲性」「信頼性」「モチベーション維持・向上 」「処方遵守」「フィードバック」「その他」米国日本欧州中国韓国優先権主張2001-2015年3131474912912671246417821696132130241572310889144614621516970111531,1931,1545311,366698273195123120213108641128196362135068338038651644217733305723110(件)(件)出願年(優先権主張年)出願人国籍(地域)日本米国欧州中国韓国イスラエルその他合計20032002200120042005200620072008200920102011201220132014201590080070060050040030020010002,0001,8001,6001,4001,2001,0008006004002000出願件数合計優先権主張2001-2015年6828048809311,0121,0891,0671,0931.1421,2281,3481,6191,9401,9771,838出願人国籍(地域)日本米国欧州中国韓国イスラエルその他優先権主張2001-2015年合計871件22件2.5%8件0.9%70件8.0%102件11.7%合計2,491件129件14.8%256件29.4%284件32.6%70件2.8%15件0.6%233件9.4%379件15.2%395件15.9%488件19.6%911件36.6%出願件数比率(%)1009080706050403020100
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