特許行政年次報告書2018年度版
143/372
特許行政年次報告書2018年版117第1章第5章第6章第7章第8章第4章第3章第2章第2部・特許庁における取組(1)ユーザーニーズに応じた取組①面接特許庁では、審査官と出願人又はその代理人との間において、円滑な意思疎通を図るとともに、審査の効率化にも資するため、面接1を実施している(2017年実績:4,239件)。また、面接の形態としては、地方の中小・ベンチャー企業、大学・TLO等を対象に、全国各地の面接会場に審査官が出張し、審査官と出願人とが直接面会して出願や技術内容等に係る相談を行う出張面接(2017年実績:1,168件)や、テレビ面接システムを利用したテレビ面接も実施している(2017年実績:52件)。2017年7月に開設した独立行政法人工業所有権情報・研修館近畿統括本部(INPIT-KANSAI)では、毎月第1・第3金曜日を重点実施日とし、出張面接を重点的に実施している。質の高い権利を設定するための取組2国際的に信頼される質の高い特許権は、円滑かつグローバルな事業展開を保障し、イノベーションを促進する上で不可欠である。こうした質の高い特許権には、後に覆ることのない強さと、発明の技術レベルや開示の程度に見合う権利範囲の広さを備え、世界に通用する有用なものであることが求められる。特許庁は、この「強く・広く・役に立つ特許権」を付与していくにあたり、品質管理体制の充実はもとより、出張面接やテレビ面接を含む面接、事業戦略対応まとめ審査等のユーザーニーズに応じた取組、審査官同士の協議やユーザー評価調査の充実等の特許審査の質の維持・向上のための取組を実施した。また、研究開発及びビジネスへの適用が急速に進み、分野横断的に利用されるIoTや人工知能(AI)、ビッグデータ等の新技術において、これらの特許出願に適切に対応するため、「特許・実用新案審査基準」の改訂や、分野横断的な分類の新設を実施した。本節では、これらの質の高い権利を設定するための取組について紹介する。②事業戦略対応まとめ審査近年、企業活動のグローバル化や事業形態の多様化に伴い、企業では事業戦略上、知的財産権を群として取得し活用することが重要になってきている。そこで、特許庁では、事業で活用される知的財産権の包括的な取得を支援するために、国内外の事業に結びつく複数の知的財産(特許・意匠・商標)を対象として、各分野横断的に事業展開の時期に合わせて審査・権利化を行う事業戦略対応まとめ審査2を実施している(2017年実績:42件(対象とされた特許出願は471件、意匠登録出願は4件、商標登録出願は13件))。事業戦略対応まとめ審査では、事業説明・面接等を活用し、事業の背景や、技術間の繋がりを把握した上で審査を行う。また、出願人が希望するタイミングでの権利化を支援するため、事業説明・面接・着手のスケジュールを調整しながら審査を進めることとしている。1 面接申込等その他詳細な情報については下記ウェブサイトを参照 https://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/junkai.htm2 申請手続等その他詳細な情報については下記ウェブサイトを参照 https://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/matome_sinsa.htm12
元のページ
../index.html#143