特許行政年次報告書2018年度版
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特許における取組第1章特許行政年次報告書2018年版118オンライン書類10,0008,0006,0004,0002,0000201320142015201620175,243(年)(件)6,8436,1765,1325,730③特許審査着手見通し時期の提供出願人及び代理人の戦略的な特許管理を支援するため、特許庁ウェブサイトの「特許審査着手見通し時期照会」1を通じて、出願人・代理人ごとの審査未着手案件(公開前の案件を除く)の着手見通し時期を提供している。着手見通し時期の提供により、出願人による権利化の必要性等についての検討を促すとともに、必要に応じて早期審査制度、面接制度、及び審査請求料返還制度2を利用することができるよう支援している。また、第三者による情報提供制度の利用に資するべく、第三者にも着手見通し時期を照会可能としている。④情報提供制度情報提供制度は、特許出願に係る発明が新規性・進歩性を有していない、あるいは、記載要件を満たしていないなど、審査を行う上で有用な情報の提供を受け付けるものである(特許法施行規則第13条の2、同規則第13条の3)。2017年には、5,243件の情報提供があった。(2)特許審査の質の維持・向上のための取組①特許審査の質をめぐる動向特許審査の的確性の確保は、無用な事後的紛争や出願競争を防ぎつつ、国際的に信頼される質の高い特許権を設定し、特許制度を健全に維持するために欠かせないものである。特に、近年における特許審査の迅速化とあいまって、特許審査の質の維持・向上に対する社会的要望は、非常に高くなっている。また、研究開発や企業活動のグローバル化が進展する中、国際出願件数の増大に見られるように、一つの発明を複数国で権利化する必要性が増大している。この権利化までの特許審査プロセスは、発明の認定、先行技術文献調査、判断及び通知・査定から構成される点において、各国特許庁の間で大きな相違はない。さらに、五大特許庁の特許出願・審査関連情報(ドシエ情報)を一括して参照可能なシステムである「ワン・ポータル・ドシエ(OPD)」の構築により、審査結果が各庁間で容易に利用可能な状況となっている。このような現状において、出願人は、質の高い審査結果を迅速に提示できる特許庁を最先に特許出願をする庁として選択することで、2-1-4図 事業戦略対応まとめ審査特許庁事業戦略出願の内容電気自動車素材製造技術ロゴ(商標)車体デザイン(意匠)事 業必要な知的財産の権利化企 業電池装置制御モータ特許商標意匠審査官が企業の事業戦略を理解各分野の審査官による協議2-1-5図 情報提供件数の推移(資料)特許庁作成1 https://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/search_top.htm2 特許庁が審査に着手する前に出願を取下げ又は放棄を行い、その取下げ又は放棄をしてから6 か月以内に返還請求することにより、納付した審査請求料の半額が返還される制度。1
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