特許行政年次報告書2018年度版
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特許行政年次報告書2018年版121第1章第5章第6章第7章第8章第4章第3章第2章第2部・特許庁における取組2-1-7図 審査の品質管理の実施体制・実施状況の評価項目評価項目①「品質ポリシー」及び「品質マニュアル」等の文書の作成状況⑥品質向上のための取組②審査及び品質管理のための手続の明確性⑦品質検証のための取組③品質管理の基本原則等の制度ユーザーへの公表及び職員への周知⑧審査の質の分析・課題抽出④審査実施体制⑨質の高い審査を実現するための方針・手続・体制 (評価項目①~⑤)の改善状況⑤品質管理体制⑩品質管理の取組(評価項目⑥~⑧)の改善状況⑪審査の質向上に関する取組の情報発信③世界で通用する安定した権利の設定a. 先行技術文献調査のための基盤整備(FI改正・Fタームメンテナンス・標準関連文書等)先行技術文献調査は、審査の質の維持・向上のための重要な柱の一つであり、そのための基盤を恒常的に整備することが重要である。国内外の特許文献を効率良く検索するために、日本国特許庁の内部分類であるFIを最新版の国際特許分類(IPC)に準拠させることなどを原則として、検索インデックスの再整備を推進している。2017年度は327メイングループのFI分類表を改正し、6テーマのFタームメンテナンスを行った。また、コンピュータソフトウェア関連技術の非特許文献を効率良く検索するため、より細分化したCSタームの付与を開始した。さらに、技術標準に関する規格文書及びその策定プロセスで提出された技術文書等の標準関連文書に対する検索環境の整備も進めており、2017年度は国際電気通信連合(ITU)の規格提案文書(Contribution)を含めたITUの標準規格文書に審査官が容易にアクセス可能な環境を整備した。b. 国際特許分類(IPC)改正に向けた取組特許分類は、世界の特許文献を効率的に検索するための重要なツールである。現在、国際的に広く利用されている国際特許分類(IPC)は、分類項目が少なく(約7万項目)、効率的な検索を行うためのツールとして十分機能するとはいえない。日米欧中韓の五大特許庁は協働してIPC改正に取り組んでいる。2013年1月に米国特許商標庁(USPTO)からGCI(Global Classication Initiative)の構築が提案され、2013年6月に開催された第6回五大特許庁長官会合でGCIを実施していくことに合意した。GCIは、日本国特許庁の内部分類であるFI、Fタームと、欧州特許庁(EPO)及びUSPTOの内部分類であるCPCとが整合している(各内部分類の改正により整合することが確実となったものを含む)技術分野の分類をIPCに導入するActivity ⅰと、新規技術に対応した分類を協働して作るActivity ⅱとから成る。現在に至るまでGCIの取組は着実に実施されており、多くのIPC改正提案が五大特許庁からIPC加盟国に提示され、IPC改正の議論をリードしている。日本国特許庁は、2018年3月までにGCIの枠組みで59の技術分野においてIPC改正を目指す提案を行っており、五大特許庁及びIPC加盟国での議論を経て、2018年1月に5の技術分野で新たなIPCが発効されている。GCIの枠組みを利用したIPC改正において、五庁の中で日本国特許庁の提案数・発効数は最も多い。また、WIPOにより、IPCの項目数に比して新興国の特許文献が多く蓄積されているためIPC改正が優先的に行われるべきと考えられる技術分野が、IPC加盟国に定期的に提示1されている。こうした指標も参考に1 http://web2.wipo.int/ipc-ief/en/project/1589/CE4561
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