特許行政年次報告書2018年度版
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Column 9 特許行政年次報告書2018年版125第1章第5章第6章第7章第8章第4章第3章第2章第2部・特許庁における取組ビジネス関連発明の最近の動向ビジネス関連発明とは、ビジネス方法がICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)を利用して実現された発明をいう。具体的には、電子商取引等のweb技術に関する発明や、Fintech等の金融システムに関する発明、ERP等の業務システムに関する発明である。ビジネス関連発明は、産業構造が「モノ」から「コト」へ変化し、ソリューションビジネスの重要性が増す中、注目を集めている。1.ビジネス関連発明の特許出願・審査の動向(国内)国内のビジネス関連発明の特許出願件数は、近年増加傾向で、2016年は約7,900件であった。ビジネス関連発明は、2000年頃に、米国でのビジネス方法に関する特許をめぐる判決の影響等により、前年比6倍以上の19,000件超の出願件数に達し、出願ブームとも言える状況があった。一方、そうしたブームと関係なく、特許査定件数は、2000年の約600件から2013年の2,000件超へと、堅調に推移している。背景には、「モノ」から「コト」への産業構造の変化が進む中で、ソリューションビジネス分野へのR&Dが活発化し、同分野から多くのイノベーションが誕生していることが考えられる。2.IP5におけるビジネス関連発明の出願動向IP5におけるビジネス関連発明の特許出願件数は、全体として増加傾向である。そうした中、日本の出願動向に目を向けると、全体の出願件数が世界第3位であることに対し、ビジネス関連発明の分野の出願規模は、相対的に小さくなっている。具体的には、韓国に次ぐ第4位の出願規模であり、米中と大きな差が生まれている。ソリューションビジネスにおいて、グローバル競争を念頭に置いたR&D活動の活発化により、さらなるイノベーションの創出が期待される。20,00018,00016,00014,00012,00010,0008,0006,0004,0002,00001997200120052009199920032007出願年201120152013(年)出願件数ビジネス関連発明自体を主要な特徴とする出願の件数ビジネス関連発明ではあるが、他技術に主要な特徴がある出願の件数7,0006,0005,0004,0003,0002,0001,000070%60%50%40%30%20%10%0%1997200120052009199920032007出願年20112013(年)拒絶査定件数特許査定件数特許査定率特許査定件数・拒絶査定件数特許査定率ビジネス関連発明の特許出願件数(備考)・ここではIPCとしてG06Q、G06F17/60が付与された出願を「ビジネス関連発明」としている。・ここではG06Q、G06F17/60が主たるIPCとして付与された出願を「ビジネス関連発明自体を主要な特徴とする出願」とし、G06Q、G06F17/60がIPCとして付与されているが、その他のIPCが主たるIPCとして付与された出願を「ビジネス関連発明ではあるが、他技術に主要な特徴がある出願」としている。・出願件数は、①国内出願件数と②PCT(Patent Cooperation Treaty:特許協力条約)に基づく国際出願のうち日本へ国内移行した出願件数、の合計数。・PCT国際出願は、国内書面の受付日を基準日として計上している。・特許査定率=特許査定件数/(特許査定件数+拒絶査定件数+FA後取下・放棄件数)(資料) 特許庁作成22,00020,00018,00016,00014,00012,00010,0008,0006,0004,0002,00002007200920112013200820102012201420152016出願年出願件数USPTO(米国)JPO(日本)SIPO(中国)KIPO(韓国)EPO(欧州)(年)(資料)WIPO Patentscopeを基に特許庁作成(備考)・2015-2016年には、DBに未反映の多数の出願が存在する可能性があるため点線で表示している。ビジネス関連発明の特許審査動向(ビジネス関連発明自体を主要な特徴とする出願を対象)各国のビジネス関連発明の特許出願件数

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