特許行政年次報告書2018年度版
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特許行政年次報告書2018年版129第1章第5章第6章第7章第8章第4章第3章第2章第2部・特許庁における取組ける見解書又は国際予備審査報告で特許可能と判断された見解に基づき、早期審査を申請することができるPCT-PPHの枠組みや、どの庁に先に特許出願をしたかにかかわらず、いずれかの庁による特許可能との審査結果に基づき他庁へのPPH申請を可能とするPPH MOTTAINAIの枠組みも導入され、PPH申請可能な出願の対象を拡大してきている。PPHを利用することによるメリットは、最初の審査結果及び最終処分までの期間の短縮、オフィスアクションの回数の減少、特許査定率の向上が挙げられるとともに、これらに付随して、中間処理にかかるコストの削減効果も見られる。このようなPPHのメリットを容易に把握可能とするために、日本国特許庁は、各庁におけるPPH対象案件の統計情報等、PPHに関する情報を掲載したPPHポータルサイト1を運営している。次に、PPH実施庁・利用件数の拡大及び、PPHの利便性向上に向けた日本国特許庁の取組について説明する。a. PPH実施庁・利用件数の拡大2006年7月に日本の提案により日米間で世界初のPPHの試行が開始されて以来、2018年4月1日時点でPPH 実施庁は48に達したほか、PPH申請件数も2017年には約30,000件となり、累積申請件数は16万件を突破した。2018年4月1日現在、日本国特許庁は42の庁とPPH(通常型PPH、PPH MOTTAINAI 又はPCT-PPH)を本格実施若しくは試行しており、我が国から海外になされる出願の9割以上でPPHが利用可能となっている。特に利用件数の多い日米欧中韓でのPPHについては、その開始から2017年12月末までの累計で、日本から米国への申請が20,356件、米国から日本への申請が9,397件、日本から韓国への申請が7,908件、韓国から日本への申請が996件、日本から欧州への申請が5,012件、欧州から日本への申請が3,861件、日本から中国への申請が11,680件、中国から日本への申請が497件に達している。最近では、特許審査における遅延が大きな問題となっていたブラジルとの間でPPHを2017年4月1日より開始した。この他、同日よりアルゼンチンとの間で、さらに同年8月にはチリとの間で、11月にはペルーとの間でPPHを開始した。また、南米以外の地域でも同年7月よりニュージーランドとの間で、2018年4月からはトルコとの間でPPHを開始しており、PPH対象国は新興国を中心に拡大してきている。さらに、インドとの間では2018年4月1日現在PPH未実施であるものの、2017年9月の(備考)2017年の申請件数は、2018年3月8日時点集計1 http://www.jpo.go.jp/ppph-portal-j/index.htm12-1-11図 PPH実施庁数及びPPH実施庁間でのPPH申請件数35,00030,00025,00020,00015,00010,0005,000050454035302520151050201220132015201620172014PPH申請年初めてPPHに参加した年13,51719,75223,46527,73728,77130,6412006200720082009201120122013201420152016201720182010日本提案により日米間で始動韓、英スペインフィリピン、コロンビア、チェコポーランド、ユーラシア、インドネシア、ニカラグア*ルーマニア、エジプト、エストニアトルコ、ニュージーランドヴィシェグラードタイ、マレーシアペルー、ブラジル、ベトナム、モロッコ*、チリ、パラグアイ*、ウルグアイ*、エクアドル*、アルゼンチンカナダ、独、豪、欧、デンマーク*の国は、日本とPPH未実施シンガポール、フィンランド、露、オーストリア、ハンガリーメキシコ、ポルトガル、スウェーデン、イスラエル、北欧、台湾、ノルウェー、中国、アイスランド48世界のPPH申請件数(各年毎)PPH実施庁数(2018年4月1日現在)

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