特許行政年次報告書2018年度版
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特許行政年次報告書2018年版133第1章第5章第6章第7章第8章第4章第3章第2章第2部・特許庁における取組五大特許庁による試行開始が合意された。その後、五大特許庁の実務者からなるPCT協働調査試行グループ会合を6度開催し、具体的な運用についての議論を行ってきた。2018年度中に試行が開始される予定であり、試行期間中に効果につき評価が行われた上で、本格施行の可能性について検討される。③PCT協働調査PCT協働調査は、PCT国際出願における質の高い成果物を作成することを目的として、一つのPCT出願について、主担当の特許庁が副担当の特許庁と協働して、特許可能性に関する判断を行い、最終的に一つの国際調査報告を作成し、出願人に提供するものである。2016年6月の五大特許庁長官会合において、(3)国際的な特許制度の調和に向けた取組①国際審査協力経済活動のグローバル化に伴う、同一又は類似の発明が国をまたいで複数の庁に出願されるケースの増加、特許審査ハイウェイの拡大、特許庁間の情報ネットワークの発達等により、他庁の審査結果を日本国特許庁の審査官が利用する機会や、日本の審査結果が他庁の審査官に参照される機会は増加の一途をたどっている。国際審査協力は、このような状況の中、先行技術文献調査及び審査実務の相互理解に基づく特許審査のワークシェアリングの促進、日本国特許庁の審査実務・審査結果の他庁への普及、質の高いレベルでの審査の調和、特許分類の調和、日本国特許庁の施策の推進等を目的として、各国特許庁の審査官との直接の議論や、審査実務指導を行う取組である。2000年4月から2018年3月末までの累積で、短期又は中長期の派遣・受入れを29の知財庁・組織と行っている。2017年度は、日本国特許庁の審査官延べ30名を派遣するとともに、各国・地域の特許庁審査官10名を受け入れた。特に、中国国家知識産権局との間では、実案件を用いた協議に加えて、両庁における特許審査の品質管理手法について協議を行い、審査の質を向上させるための取組について相互理解を深めた。また、欧州特許庁に対しては、日本国特許庁の審査官を中長期に派遣し、両庁の審査官による共同分析を通じて、品質管理に関する日本国特許庁の施策・取組を推進した。加えて、インドやASEAN諸国等の新興国に対しては、日本国特許庁の審査官を派遣して、延べ約500名の審査官に審査実務指導を行い1、当該国での適切な知的財産制度の整備や人材の育成の促進に取り組んだ。2018年度も、これらの国・地域に対する派遣、受入れを引き続き行い、日本国特許庁の審査実務・審査結果の普及に一層注力する。1 第3部第2章4.参照。2-1-15図 PCT協働調査のワークフロー
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