特許行政年次報告書2018年度版
160/372
特許における取組第1章特許行政年次報告書2018年版134今後も、特許制度調和の議論の機運の高まりを維持しつつ、特許制度調和に関係するあらゆる会合を通じ、日本国特許庁は特許制度調和に向けた取組を推進する。(4)英語によるPCT国際出願の国際調査の管轄現在、我が国企業は、アジアを中心とする新興国等を中心に研究開発拠点の海外展開を拡大させており、海外での知財活動がますます重要になってきていることがうかがえる。そうした状況の中、日本国特許庁としては、我が国企業がアジア新興国等の海外で生み出す研究開発成果について適切に保護される環境を整備する必要がある。PCT国際出願制度においては、海外で受理されたPCT国際出願について日本国特許庁が国際調査機関として管轄する場合、出願人の希望により、日本国特許庁が当該PCT国際出願に関する国際調査報告を作成することが可能である。この国際調査報告の提供を通じて日本国特許庁による先行技術文献調査の結果を世界各国へ発信可能であり、これは我が国企業等が海外で安定した権利を得られる環境の実現に寄与すると考えられる。②国際的な特許制度の調和に向けた議論特許制度は、各国で独立しているため、海外で特許を取得するためには、各国・地域の特許庁に出願をする必要がある。そして、海外において円滑かつ予見性の高い特許権の取得を可能とするためには、各国の特許制度の調和が不可欠である。2014年9月に開催された特許制度調和に関する先進国会合(B+会合1)において、今後の制度調和の進め方について、参加国を限定してB+会合に設置したB+サブグループ2で実質的な議論を行うことで合意した。B+サブグループは、主に「グレースピリオド」、「衝突する出願」、「18か月全件公開」、「先使用権」の4項目について議論を継続している。2017年6月、B+サブグループは制度調和に関するユーザーシンポジウムをミュンヘンで開催し、日米欧のユーザーのみならず、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、韓国等のユーザーも交えて議論が行われた。10月のB+会合では、翌年の会合において制度調和パッケージ(セットで調和すべき項目)を提案すべく、引き続きB+サブグループがユーザー主導の議論を進めていくことについて合意された。1 WIPO・Bグループ(先進国)メンバー、EUメンバー国、欧州特許条約(EPC)メンバー国、欧州特許庁(EPO)、欧州委員会(EC)、及び韓国の、46か国の特許庁及び2 機関。2 日、米、欧、英、独、韓、カナダ、デンマーク、ハンガリー、スペインの特許庁。2-1-16図 国際審査協力の実績(2000年4月~2018年3月末累積)アルゼンチン派遣:1人オーストラリア中長期派遣:1人受入:2人ブラジル派遣:4人受入:2人カナダ派遣:2人チリ派遣:2人中国派遣:42人受入:45人コロンビア派遣:2人ドイツ派遣:51人受入:48人デンマーク受入:1人ユーラシア派遣:8人受入:2人EPO派遣:285人中長期派遣:11人受入:195人スペイン派遣:6人インド派遣:31人インドネシア派遣:6人イスラエル受入:2人韓国派遣:39人受入:36人メキシコ受入:4人派遣:4人フィリピン派遣:7人ポルトガル受入:2人派遣:2人イギリス派遣:8人受入:5人ロシア受入:10人派遣:16人スウェーデン派遣:9人受入:6人シンガポール派遣:7人受入:4人タイ派遣:13人台湾派遣:28人受入:28人マレーシア派遣:1人アメリカ派遣:3人中長期派遣:10人ベトナム派遣:6人受入:28人WIPO中長期派遣:1人五庁(日米欧中韓の取組)三極(日米欧)の取組五庁ワークショップ(2009~)派遣:13人受入:12人三極審査官会合派遣:28人受入:24人審査官分類協議三極分類調和プロジェクト派遣:73人受入:11人●2000年4月~2018年3月末日までの実績(延べ人数)中長期派遣:4人中長期派遣:3人中長期派遣:4人
元のページ
../index.html#160