特許行政年次報告書2018年度版
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特許における取組第1章特許行政年次報告書2018年版136イヤルティの算定方法などについて、特許権者と実施者との間の利益のバランスを図る上で考慮されるべき要素を示すことは有益であると考え、現段階における内外の裁判例や競争当局の判断、ライセンス実務等の動向を踏まえ、ライセンス交渉をめぐる論点をできるだけ客観的に整理して記述するよう努めた手引きを作成することとした。本手引きは、規範を設定しようとするものでも、法的拘束力を持つものでもなく、資格のある専門家がSEPをめぐる問題になじみのない中小企業等に対して助言をする際に本手引きが活用されることを期待するものである。手引きの策定に当たっては、2017年9月29日から11月10日まで、提案を募集し、国内外から約50件の提案が寄せられた。これらの提案を参照しつつ、特許庁では、日英2か国語で手引きの原案を作成し、その後、2018年3月9日から4月10日まで、原案についてパブリックコメントの募集を行ったところ、国内外から約50件のコメントが寄せられた。特許庁では、これらのコメントを踏まえ、手引きの内容を見直し、最終版を2018年6月5日に公表した1。本手引きでは、(i)交渉の各段階において当事者が提供すべき情報の範囲や応答期間についての考慮要素、(ii)サプライチェーン内のどのレベルの主体(最終製品メーカー、部品メーカーなど)がライセンス契約の締結主体になるべきかについての考慮要素、(iii)ロイヤルティの算定の基礎(部品の価格、最終製品の価格など)をどのように決定すべきかについての考慮要素、(iv)同一の技術が異なる用途で使用されている場合に、異なったライセンス料率や額を適用することが差別的かどうかについての考慮要素、といった論点について整理している。1 https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/seps-tebiki.html12-1-18図 標準必須特許のライセンス交渉に関する手引きにおける主要な論点

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