特許行政年次報告書2018年度版
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特許行政年次報告書2018年版137第1章第5章第6章第7章第8章第4章第3章第2章第2部・特許庁における取組(2)標準必須性に係る判断のための判定の運用開始前記(1)のとおり、IoTの浸透による環境変化によるライセンス交渉の当事者の多様化に伴い、特許の標準必須性の判断につき当事者間で見解の乖離などが生じているという状況を受け、2017年度の産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会によって取りまとめられた報告書において、「特許庁が、公正・中立な立場から、標準必須性について争っている当事者の主張・立証に基づき標準規格文書から特定される仮想対象物品等が特許権の技術的範囲に属するかどうかの判断を公に示すことにより、特許が標準必須であるかについての予見可能性及び透明性が向上し、当事者以外にとってもライセンス交渉を円滑化する効果を持つと考えられる。このため、判定(特許法第71条)の請求において、特許発明の標準必須性に係る判断を求めることができるようにすべき」とされた。これを受け、特許庁は、標準必須性に係る判断のため、広く意見募集を行った上で判定の運用を明確化し、「標準必須性に係る判断のための判定の利用の手引き」を取りまとめて公表し1、2018年4月1日から本運用を開始した。本運用においては、審判合議体が、判定を求める特許発明と標準規格文書において不可欠とされる構成のみから特定した仮想イ号を対比し、判定書において当該仮想イ号が特許請求の範囲に属するとの結論を示す場合に、判定書の理由において、特許発明の標準必須性に係る判断についても言及する。本運用が、SEPに係る当事者間のライセンス交渉の円滑化や紛争解決の迅速化等に貢献することを期待している。1 https://www.jpo.go.jp/seido/shinpan/files/hantei_hyojun/01.pdf12-1-19図 標準必須性に係る判断のための判定のイメージ※(出典)「3GPP TS 25.322 V6.9.0」http://www.etsi.org/deliver/etsi_ts/125300_125399/125322/06.09.00_60/ts_125322v060900p.pdfより特許庁が訳を作成

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