特許行政年次報告書2018年度版
181/372

Column 13 特許行政年次報告書2018年版155第5章第6章第7章第8章第4章第2章第2部・特許庁における取組第1章第3章地域団体商標活用事例2018年3月に作成した冊子「地域団体商標ガイドブック2018」の中から、地域団体商標の取得により地域が一致団結し、積極的に県外に向けてPRを行い、新たな名物として確立した「能登丼」の事例を紹介する。~地域団体商標「能登丼」の下に地域が一致団結。積極的に県外に向けてPRを重ね、奥能登の新たな名物=誘客ツールとして定着~■商 標:能登丼(登録番号:第5459266号)■権利者:能登丼事業協同組合■指定商品又は役務:石川県珠洲市・能登市・穴水町・輪島市における石川県奥能登産の食材を使用した丼物の提供(1)「能登丼」は奥能登の魅力が1つにつまったどんぶり。観光・飲食業だけでなく、地域の他の産業にも好影響を与えている奥能登に訪れる人を増やし、地域を活性化させるため、石川県と奥能登2市2町、民間事業者、地域づくり団体が団結した。「どの店舗でも作れる「丼」を名物にしよう」と、海鮮丼や牛ステーキ丼など、バラエティー豊かな「能登丼」が生まれた。奥能登で対外的にPRできる商品は少なく、地域団体商標「能登丼」の旗を持ち、まとまって他地域のイベントに出て行けることは大きな武器で、知名度向上に役立っている。また、「能登丼」を食べたお客様には、能登産のお箸を一膳プレゼントするようにしている。丼の器にも輪島塗などの能登産の器を使用することにしており、伝統的工芸品や地域の名産品など、他の産業にも好影響を与えている。(2)弁当事業への参入、大手コンビニチェーンとのタイアップなど 、売上は提供当初の約4倍を記録!今年、売上累計11億円を突破した「能登丼」を提供する店舗は小規模店舗が多く、団体ツアー客などへの提供が困難であったことから、「能登丼弁当」を開発し、2017年4月から提供を開始している。また、大手コンビニチェーンからタイアップの話があり、その交渉の際には地域団体商標を取得していることが大企業の信用を得る上でプラスに働いている。こうした取組により「能登丼」の知名度は着実に向上し、販売数も伸びている。直近の売上は提供初年度の約4倍を記録した。

元のページ  ../index.html#181

このブックを見る