特許行政年次報告書2018年度版
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特許行政年次報告書2018年版159第5章第6章第7章第8章第3章第2章第2部・特許庁における取組第1章第4章(1)審理内容の充実①口頭審理無効審判1や取消審判2等の当事者系審判事件においては、的確な争点の把握・整理と当事者の納得感の向上のため、口頭審理を積極的に活用している。口頭審理は、合議体と当事者が口頭で直接議論することで、書面では言い尽くせない当事者の主張を引き出すとともに、対立する争点の把握や整理に役立っている。また、口頭審理において主張立証が尽くされるよう、当事者に対し、審理する事項を書面で事前に知らせることにより、十分な準備を促すようにしている。特許・実用新案部門及び意匠部門では、無効審判事件のうち、当事者の全てが書面審理を申し立てている場合等を除いて、原則として全件口頭審理を実施しており、商標部門では、取消審判事件のうち、答弁書及び弁駁書が提出されたものについては、当事者の全てが書面審理を申し立てている場合等を除いて、原則として全件口頭審理を実施している。2017年の口頭審理の件数は、特許・実用新案では146件、意匠では16件、商標では71件であった。そのうち、審判官が全国各地に出向いて行われる巡回審判を、特許・実用新案で25件、商標で10件実施した。審理内容の充実に向けた取組1②IT審判廷口頭審理をより円滑に実施するため、審判廷にモニター等のIT 機器が備えられている。これにより、当事者が持参した技術説明等のための資料や証拠物品、審判書記官が作成した調書案等の内容を、参加者全員が迅速かつ的確に把握でき、当事者がお互いの主張をより円滑に尽くせるようになっている。IT 機器が備えられた大審判廷③巡回審判・出張面接・テレビ面接地方の企業及び大学等が審判の当事者である場合に、審理をより円滑に実施するため、合議体が全国各地に出向き、無効審判や取消審判の口頭審理を行う巡回審判や、拒絶査定不服審判の審理に関して直接的な意思疎通を図る出張面接を行っている。加えて、請求人審判における取組審判は、審査の上級審として審査官の拒絶査定を見直す役割、及び知的財産権の有効性をめぐる紛争の早期解決に資する役割を担っており、これらの役割を十分に果たすためには、審理内容の充実と審理の迅速化の両立が求められる。また、審判制度や実務についての情報交換や相互理解を図るための国際的な連携強化も必要となる。そこで、特許庁は、以下に挙げる多面的な施策を実施している。第4章1 既に登録されている特許、実用新案、意匠、商標に対して、その無効を求めて請求する審判。2 登録商標の不使用や商標権者による不正使用等を理由として、登録の取消を請求する審判。

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