特許行政年次報告書2018年度版
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審判における取組第4章Column 15 特許行政年次報告書2018年版164ユーザーニーズを踏まえたよりよい行政サービスの提供に向けて産業財産権を取得するためには、発明等の実体的な審査のみならず、出願から登録に至るまでの多岐にわたる手続が必要となる。特許庁では、こうした手続に関わる職員ひとりひとりの、日々の業務に係る心構えを示した「方式審査・出願・登録関連業務に関する品質ポリシー」を2015年3月に策定・公表し、よりユーザーの視点に立った行政サービスの提供を目指している。この品質ポリシーを踏まえ、方式審査・出願・登録業務の品質の維持、向上に向けた品質管理活動を推進しているので、代表的な取組を紹介する。特許庁から発送される書類の質を保証するという観点から、方式審査専門官が作成した手続補正指令書等の起案書を無作為に抽出し、起案書の記載内容等の適否を確認する品質監査を行っている。起案文例を充実する等の取組を行った結果、2017年度においては84%が適正との評価となり、2016年度の55%から大きく改善した。また、ユーザーとのコミュニケーションのあり方の基本を振り返ることでユーザーとの応対の質の維持・向上を図るという観点から、手続に関わる職員全員を対象として電話応対の自己点検を実施している。2015年度は90.9%の達成率であったが、2017年度においては93.2%となり、ユーザーとのコミュニケーションに対する意識が向上していることが見てとれる。こうした内部での点検に加え、2017年度は、よりユーザーの視点に立った行政サービスの提供を目指すために、外部からの点検として「方式審査・出願・登録業務全般の質についてのユーザー評価調査」を初めて実施した。方式審査の質の全般の評価では、「満足」又は「比較的満足」の割合は計54%に達し(「不満」又は「比較的不満」の割合は計4%)、直近1年間の傾向も「良くなっている」又は「(満足レベルで)変わらない」の割合が計55%を占めている(「悪くなっている」又は「(不満レベルで)変わらない」の割合が計6%)。また、「起案文は分かりやすいか」「ユーザーとの応対」に関しても、「満足」又は「比較的満足」が50%を超えており、特許庁で推進している方式審査等の質の向上に向けた取組についてユーザーから一定の評価を得ているといえる。一方で、「判断の均質性」については相対的に評価が低く、ユーザーから改善を求める要望も寄せられ、改善すべき課題も明らかとなった。特許庁では、方式審査等の質に関し、今後も内部評価と外部評価を組み合わせた品質管理活動の推進を通じて継続的な業務の改善を行い、よりよい行政サービスを提供していく。【最近1年間の傾向】【ユーザーとの応対】【法令や基準に適合しているか】【判断の均質性】【方式審査の質の全般】【起案文はわかりやすいか】満足17%比較的満足37%普通37%良くなってきている23%変化していない(満足)32%変化していない(普通)34%良い23%比較的良い29%普通38%良い15%比較的良い22%普通37%良い17%比較的良い35%普通32%良い29%比較的良い29%普通34%比較的不満 3%無回答5%不満 1%変化していない(不満)1%無回答5%悪くなってきている5%比較的悪い3%無回答5%悪い 2%比較的悪い 3%無回答5%悪い 0%比較的悪い5%無回答9%悪い 2%比較的悪い20%無回答5%悪い 1%

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