特許行政年次報告書2018年度版
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特許行政年次報告書2018年版169第6章第7章第8章第4章第3章第2章第2部・特許庁における取組第1章第5章利点に鑑み二庁間PDXからDASへの一本化を進めており、2017年10月には、従来二庁間PDXとDASを併用してきた米国との間の優先権書類の電子的交換をDASに一本化した。今後も、ユーザーニーズを踏まえつつ、DAS参加庁の増加及び更なるサービスの改善に向けた取組を推進していく。(2)グローバル・ドシエ「グローバル・ドシエ」とは、各国特許庁のシステムを連携させることによって仮想的な共通システムを構築し、各国特許庁が有する特許出願の手続や審査に関連する情報(ドシエ情報)の一般ユーザーとの共有やITを活用した新たなサービスの実現を目指す構想である。グローバル・ドシエは、2012年6月の五大特許庁長官会合にて、日本国特許庁と米国特許商標庁とが共同提案したものであり、五大(1)優先権書類の電子的交換出願人が優先権主張を伴い海外へ特許出願等をするためには、原則としては優先権書類の紙書面の提出等が必要となる。日本国特許庁は、欧州特許庁、韓国特許庁及び台湾智慧財産局と二庁間での優先権書類の電子的交換(二庁間PDX)を行っており、出願人はこれらの庁に対する優先権書類の提出の省略が可能となっている。他方で、二庁間PDXの枠組みには、対象庁が増加するにつれて、特許庁間のネットワーク整備負担や各庁の運用負担が増大するため、対象庁の拡大が進まないという課題があった。このような二庁間PDXの課題を解消し、対象庁の拡大を推進するべく、世界知的所有権機関(WIPO)をハブとして複数の特許庁間で優先権書類を電子的に交換する「デジタルアクセスサービス(DAS)」が2009年4月から開始されている。日本国特許庁においては、DASのグローバルなIT化に向けた取組2世界的に急増する出願に対応し、業務の更なる効率化を図るべく、各国特許庁は、出願・審査関連書類の電子的管理や審査業務をサポートする情報システム基盤の強化を推進している。本節では、日本国特許庁が海外特許庁と共に行っている情報技術(IT)を活用した様々な国際的協力と、日米欧中韓の五大特許庁で近年取組を進めている「グローバル・ドシエ」について紹介する。2-5-3図 二庁間PDXとDAS二庁間PDXDAS韓国米国日本英国中国オーストラリアデンマークスペインフィンランドスウェーデン欧州特許庁韓国台湾智慧財産局日本ニュージーランドエストニアモロッコDASWIPOをハブとした優先権書類の電子的交換システムユーラシア特許庁インドブラジル
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