特許行政年次報告書2018年度版
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情報システムにおける取組第5章特許行政年次報告書2018年版170クは五大特許庁の枠を超えて拡大した。今後、WIPO-CASEへの新規参加やドシエ情報の有効活用等を促進することによって、ドシエ情報共有ネットワークの拡大を通じた、グローバルなワークシェアリングのITインフラ整備を進めていく。また、五大特許庁では、審査官用に開発されたOPDのサービスを更に拡充し、世界中の一般ユーザーも同様にサービスの提供を受けることができるよう協力を進めてきた。我が国では2016年7月からJ-PlatPatを通じてOPDのサービス提供を開始している。②ITを活用した新たなサービスの実現を目指す取組2015年1月に開催された第2回グローバル・ドシエ・タスクフォース(GDTF)会合では、産業界から、究極目標として複数庁への一括出願(クロス・ファイリング)の実現が示される一方、産業界の当面の5つの関心事項について優先的に取り組むことが要請された。五大特許庁は、これを短期的優先五項目と位置づけ、実現に向けた具体的な手段や課題等について検討を進めている。2016年6月に日本で開催された五大特許庁長官会合では、それぞれの項目の具体的な実特許庁とその産業界とが共同してグローバル・ドシエ・タスクフォース1を構成し、取組を推進している。①ドシエ情報の共有の取組企業活動のグローバル化に伴い、複数の国・地域に同一発明の出願がなされている。このような状況下において、互いの審査状況を確認することで審査の効率化を図るために、各国特許庁のドシエ情報を各国審査官が相互参照可能とするシステムの整備が必要とされてきた。そこで、日本国特許庁の主導により、五大特許庁の複数庁に出願された同一発明のドシエ情報を一括取得し、見やすい形式で提供するITサービスである「ワン・ポータル・ドシエ(OPD)」を、2013年7月に五大特許庁の審査官を対象として開始した。更に、日本国特許庁は、WIPOと協力して、OPDと、WIPOが提供するドシエ情報相互参照システムであるWIPO-CASE2とを連携する技術を2014年3月に確立した。我が国に続いて、米国特許商標庁、欧州特許庁、中国国家知識産権局及び韓国特許庁も当該技術を利用して2016年までにOPDとWIPO-CASEとの連携を完了した。これにより、ドシエ情報共有ネットワー2-5-4図 OPDとWIPO-CASEの連携 27(※)20183 ※アゼルバイジャン、イギリス、イスラエル、インド、インドネシア、ウクライナ、エジプト、オーストラリア、カナダ、カンボジア、コスタリカ、ジョージア、シンガポール、タイ、チリ、ニュージーランド、パプアニューギニア、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ペルー、ポルトガル、マレーシア、モンゴル、ラオス、EAPO、WIPOOPDWIPO-CASE1 グローバル・ドシエのプロジェクトにユーザーニーズが反映されるよう、五大特許庁及びWIPOの実務者と五大特許庁ユーザー団体の実務者で構成された検討体。2 WIPO-CASE:WIPO-Centralized Access to Search and Examination

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