特許行政年次報告書2018年度版
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特許行政年次報告書2018年版171第6章第7章第8章第4章第3章第2章第2部・特許庁における取組第1章第5章後の作業計画について産業界とともに議論を行った。施内容、今後の進め方等について合意した。2018年1月に日本で開催された第5回GDTF会合では、これまでの進捗を踏まえつつ、今2-5-5図 グローバル・ドシエの短期的優先五項目(3)共通文献プロジェクト特許等の審査においては、現在、新規性判断の基準として主要国のほぼ全てにおいていわゆる「世界公知」が採用され、自国のみならず世界中の文献を調査対象とする必要がある。これを可能とするためには、審査協力を推進するとともに、世界の各国特許庁が保有する文献データ範囲を統一し、国際的なワークシェアリングに資するサーチ環境の高度化を目指す必要がある。そこで、五大特許庁は、2008年より各国特許庁審査官が同一の文献データ範囲にアクセスできるようにサーチデータベース環境を整備する「共通文献プロジェクト」を開始し、①共通文献セットの目録(オーソリティ・ファイル)の作成、②CD等の記録媒体を用いない形態での各国特許庁間のデータ交換(データ交換のメディアレス化)を行ってきた。2018年3月現在、日本国特許庁から、五大特許庁を含む39の海外特許庁・機関へメディアレスでデータ提供することにより、従来の記録媒体での提供に起因するデータエラーをなくすとともに、文献データを交換するためのコストを削減している。(4)新興国へのIT関連の支援ASEAN諸国をはじめとする新興国は製造拠点として、また近年では成長市場としてその重要性が一層高まっている。これらの新興国での我が国企業等のビジネス展開を円滑なものとするために、日本国特許庁は、模倣品・海賊版問題等の知的財産問題に対する改善を要請するだけではなく、これらの国々に対して、より効率的な知的財産行政のためのITインフラ整備を、我が国からWIPOへの任意拠出金を財源とした信託基金であるWIPOジャパンファンドを通じて支援している。今後も、日本国特許庁のITシステム構築の実績と経験を生かし、ワークショップ、各種プロジェクト、招へい研修、専門家派遣など、新興国へのITシステム関連の支援を継続していく予定である。①出願書類等紙書類の電子化支援ASEAN等の新興国知財庁においては、多くの出願書類等がいまだ紙で保有されており、業務の効率化や新興国知財庁における知財情報へのアクセス性の向上が求められている。日本国特許庁はWIPOジャパンファンドを通じ

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