特許行政年次報告書2018年度版
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特許行政年次報告書2018年版175第5章第7章第8章第4章第3章第2章第2部・特許庁における取組第1章第6章ベンチャー企業や支援者に知的財産の重要性を理解してもらうためには、成功事例の共有が何より重要である。知的財産を一つのツールとして活用することで、ビジネスの優位性こうした現状から、ベンチャー企業の知財への関心度合いに応じた支援策や、官と民との役割分担を踏まえた上での支援策を行うことが求められ、知財への関心が低いステージでは、知財への気づきの場の形成、関心が高いステージでは、よりベンチャー企業のビジネスに沿ったハンズオン支援が必要であると提案された。具体的には、知財への関心が低いステージでは、誰もがアクセスでき対外的に開かれた敷居の低いコミュニティの形成と、ケーススタディを交えた知財への関心を引くコンテンツの充実が効果的であると考えられる。コミュニティには、弁護士や弁理士、更には企業に所属する若手知財部員や企業OBが参加し、ベンチャー企業へのプロボノ支援1を展開することでベンチャー企業のビジネスと知財の橋渡しが可能となり、また、領域の異なる専門家同士でのセミナーやワークショップを通じた情報交換や知識共有を行うことで、知財専門家にとっても新たな知識・知見の獲得や活動領域の拡大が可能となる。2-6-1図 知的財産を経営戦略に組み込んだ時期機械、電気・電子、IT、その他IT医薬・バイオ(n=185)(n=42)(n=31)0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100%「創業前」に知的財産が経営戦略に組み込まれている「創業前」に知的財産が経営戦略に組み込まれていない21.1%78.9%11.9%88.1%45.2%54.8%(備考)「機械、電気・電子、IT、その他」には、「医薬・バイオ」は含まれない。(資料)平成29年度特許庁制度問題調査研究「スタートアップが直面する知的財産の課題および支援策の在り方に関する調査研究」2-6-2図 スタートアップ・コミュニティのイメージを確保することが成功事例の一つと考えられるが、その勝ちパターンへの道筋を示すための事例の積み上げと情報発信による共有・普及がコミュニティにおける重要な役割である。1 プロボノ支援とは、プロの専門家による専門知識を生かしたボランティア活動を指す。
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