特許行政年次報告書2018年度版
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中小企業・ベンチャー企業・地域・大学等への支援・施策第6章特許行政年次報告書2018年版1802018年6月に策定された「知的財産推進計画2018」では、「地方・中小企業・農業分野の知財戦略強化支援」を重要課題として掲げるなど、中小企業による知的財産の積極的な活用を支援していくことは、地方創生の観点から重要である。特許庁では、2016年9月の産業構造審議会第9回知的財産分科会での議論を経て、「地域知財活性化行動計画」を策定した。同計画では、(ⅰ)着実な地域・中小企業支援の実施、(ⅱ)地域・中小企業の支援体制の構築、(ⅲ)成果目標(KPI)の設定とPDCAサイクルの確立という3つの基本方針にのっとり、地域・中小企業による知財の取得・活用の促進により、中小企業のイノベーション創出を支援することを目指している。2017年には、同計画に基づき、4月に東京で、10月から11月にかけては地域ブロックごとに、関係者を集めた連絡会議を開催し、地域における知財の取組状況や先進的な優れた先進事例について情報共有を行った。また、各地域地域知財活性化行動計画の実施2・都道府県の特色を踏まえて、地域・中小企業に対する支援施策をよりきめ細やかに実施するため、「都道府県の特色を踏まえた平成31年度までの目標」を取りまとめた1。都道府県ごとに、産業政策との連携、重点産業分野(例:農林水産業、ロボット、医療福祉等)、海外展開、産学官・金融連携、災害復興といった、特色ある目標が設定された。2016年に全国レベル及び地域レベルで設定した、知財総合支援窓口における相談件数や専門人材による支援件数等の成果目標(KPI)の達成に向け、関係機関との連携も引き続き強化していく。同年6月に閣議決定された「未来投資戦略2017」でも、同計画に基づき、地域の中堅・中小企業の知財戦略の強化を促進することとされており、同計画に基づく成果目標と「都道府県の特色を踏まえた平成31年度までの目標」を指標とし、各都道府県や地域の関係機関と一体となって取り組むことで、地域・中小企業支援のより一層の充実を図っていく。(1)特許情報の提供①特許情報とは「特許情報2」とは、特許、実用新案、意匠、商標の出願や権利化に伴って生み出される情報である。特許情報は、企業や研究機関等が、研究開発活動や技術の動向、デザインの動向、さらには、商品やサービス等の市場動向等を把握する上で重要な役割を果たしている。そして、企業や研究機関等は、これを有効に活情報の提供による支援3用することで、研究開発の重複防止、既存技術を活用した研究開発の推進、無用な紛争の回避等を図ることができる。このように、特許情報の有効活用は、知的財産の創造、保護及び活用を図る知的創造サイクルにおいて重要な鍵を握っている。特に、特許の出願や権利化に伴って生み出される特許公報等の情報は、特許情報の中心であり、以下に示す技術情報と権利情報の両面を有している。1 2017年12月25日付けプレスリリース「「地域知財活性化行動計画」に基づく「都道府県の特色を踏まえた平成31年度までの目標」を決定しました」2 「産業財産権情報」又は「知的財産権情報」と称される場合もある。
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