特許行政年次報告書2018年度版
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Column 20 特許行政年次報告書2018年版195第5章第7章第8章第4章第3章第2章第2部・特許庁における取組第1章第6章INPIT知財総合支援窓口~中小企業の知財活動を一気通貫で支援~「自社のブランドをどう守れば良いのか?」という相談のために窓口を訪れた中小企業に対し、当初の相談内容から発展して、自社技術のライセンス契約や海外展開、知財・経営戦略に関する支援にまで発展するケースもある。その際、企業知財部OBや中小企業の知財支援に長年携わっている者等、経験豊富な支援担当者がアドバイスを行うとともに、解決すべき課題にあわせ、弁理士や弁護士等の専門家をコーディネートして支援している。ここでは、窓口での知財支援を活かし、ビジネスで活躍する中小企業の事例を紹介する。○外国出願、契約書作成支援による海外出店有限会社オフィスりょう次は、1996年に設立し、居酒屋、ラーメン店などを経営している。同社が展開するラーメン店「琉球新麺 通堂」が中華圏への出店の引き合いを受けた際に、海外での模倣や冒認出願に関する懸念から、窓口に相談した。窓口では、商談状況や見通しについてヒアリングし、早い段階で外国出願を行った方が良いことを説明した。また、経費削減の助言として、沖縄県が予算化している外国出願補助金を紹介し、同社は同補助金の採択を受け、外国出願を行った。その後、同社は、ラーメン店の出店に関する台湾企業とのライセンス契約について、窓口に相談した。窓口では、INPIT海外知財プロデューサーを紹介し、海外出店に向けたリスク等の説明をするとともに、海外企業との契約に知見の深い弁護士を派遣し、契約書面の作成を支援した。同社は、無事契約を済ませ、台湾に1号店を出店したところ売上は順調で、2店目も出店した。また、台湾以外の国からもオファーがあり、引き続き外国への商標登録出願も計画している。○商標権取得支援とその後の販促活動支援有限会社土井茂商店は、1973年の設立以来、水産物卸業を営んでおり、近年では水産加工会社及び直営店を作り、新商品の開発・販売に着手しており、新商品の知財保護について窓口に相談した。 相談内容は、商品パッケージに関する意匠権を取得したいとのことであったが、窓口担当者が詳しくヒアリングしたところ、同社が真に求めているものは、自己の商品を表すロゴマークの権利化であることが分かった。このため、商標制度について紹介するとともに、他企業の取得例などを参考に、商標についてイメージして頂くことから支援を始めた。その後、同社は窓口のアドバイスを受けつつ商標登録出願を行い、権利取得までご自身で手続を実施した。現在は、登録された商標を、大手デパートに納入する商品の包装内に同封している。また、窓口とよろず支援拠点による連携支援を受け、拡販活動を強化するため、ふるさと納税の返礼品登録を行い、特産品としての品質アピールに努めている。今後は県産品(プレミア和歌山)の登録も行うことを予定している。知財ポータルでは、全国各地の窓口での支援事例を紹介している。http://chizai-portal.inpit.go.jp/[ラーメンチェーン「琉球新麺 通堂」のラーメン][ブランド化に成功した土井茂商店の干し魚の商品]

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