特許行政年次報告書2018年度版
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中小企業・ベンチャー企業・地域・大学等への支援・施策第6章Column 21 特許行政年次報告書2018年版202海外知的財産プロデューサーの支援事例海外知的財産プロデューサーは、日本企業の海外進出、海外事業展開を、知的財産の視点から、無料出張相談等により支援している。海外知的財産プロデューサーが支援した企業のうちの一部を事例として紹介する。~株式会社清原光学(東京都板橋区)~「“見えなかったもの”を“見える”ようにすることを目指して」株式会社清原光学1は、設計から加工・製造までを一貫して行える総合光学メーカー。“見えなかったもの”をどうすれば“見える”ようにできるかを追求しながら、新しい挑戦を続けています。例えば高速偏光干渉計“SuperFIZ”に、レーザー干渉計用ビームエクスパンダー(測定範囲を拡大可能な装置)を組み合わせることで、φ500mmの大サイズ望遠鏡等の光学部品表面を測定することができます。こうした技術は世界で唯一のものです。一方、様々な製品開発の中で特許出願件数も多くなり、①それらを十分に管理できていない、②海外展開を見据えてPCT出願の移行国の選択という課題がありました。「海外展開を見据え、自立した知財活動の実現へ」海外知的財産プロデューサーによる支援は、2016年11月、特許出願の管理体制を整備することからスタート。社内で各特許出願の期限管理・予算管理を可能とするための整理手段についてアドバイスを受け、それまでは特許事務所に任せきりだったところ、自社で特許出願の全体像を把握できるようになりました。また、発明評価の観点や手法についてもアドバイスを受け、それによりPCT出願の移行国についても自社で判断できる体制作りが進みました。さらに、米国展開の計画があり、関連する他社特許の調査手法についても解説を受け、今後の事業展開を検討しています。同社は、今後は、事業計画を踏まえ、オンリーワンの製品を守るための出願戦略の部分を充実させていくことを考えています。(同社前野社長より) <海外知的財産プロデューサーのコメント>本件は、米国での新規事業の知的財産リスクマネジメントと知的財産管理といったベーシックな問題に取り組んでいる事例です。課題を解決すべく、引き続き支援をしていく所存です。(海外知的財産プロデューサー 松島重夫氏)1 1987年に設立、干渉計・光学システム・光学部品の設計・加工・製造またコンサルティングを行う。高速偏光干渉計“SuperFIZ”代表取締役社長 前野隆一氏 ビームエクスパンダー宇宙望遠鏡

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