特許行政年次報告書2018年度版
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特許行政年次報告書2018年版207第5章第7章第8章第4章第3章第2章第2部・特許庁における取組第1章第6章「事業プロデューサー」の派遣を行うことによって、地域における事業化創出機能の活性化を図ることを目的とした、「地方創生のための事業プロデューサー派遣事業」を2016年度より3か年の事業として実施している。具体的には、最長3か年度を限度として、有識者委員会の議論を経て選定された、(一社)さいしんコラボ産学官、(公財)静岡県産業振興財団、(公財)北九州産業学術推進機構の3機関に事業プロデューサーを2016年10~11月から派遣を開始し、①地域の金融機関及び専門家等との支援ネットワークを構築・活用した地域における潜在ニーズ及びシーズの掘り起こし支援、②これらの情報に基づいて自らの知見と支援ネットワークの有する知見等を融合して構想することによる地域ニーズに基づいた新規事業構想支援、③構想した新規事業構想の具現化に必要な支援チームの組成・活動支援、④事業プロデューサー及び派遣先地域関係者が活動事例・ニーズ・シーズ情報等を共有する場の提供、⑤事業プロデューサーによる活動の成功事例・失敗事例の収集・分析等の活動を通じて、新規事業プロデュース活動のノウハウの派遣先の地域ネットワークへの提供といった取組を適宜行っている。また、上記の取組を通じて、派遣先において事業プロデューサーの役割を担う人材が育ち、事業終了後においても、自律的に事業プロデュース活動が継続されることを目指している。さらに、事業プロデューサーによる活動の成功事例・失敗事例の分析によってモデルを抽出し、事業終了後に広く派遣先以外の地方にも周知を図り、事業プロデューサーの活動が地方において定着することを目指している。(5)事業プロデューサー1我が国は社会課題先進国であり、地方には地理的条件、人口構造、産業構造等の独特の状況に付随した地方特有の社会課題が存在する。これらの課題に対し、事業ニーズ起点で知財シーズ・技術開発力(権利化されているか否かは問わない。)を組合せて事業化構想を行うことができれば、新規事業創出に繋がるといえる。しかし、各地方では、保有するシーズを活用して新規事業創出に成功している事例が必ずしも多いとはいえない現状にある。その大きな理由の一つとして、潜在的な市場・ニーズを察知しつつ、知財・技術を理解し、魅力あるビジネスモデルをつくり、そして新規事業創出のできる事業化支援人材が各地方に欠乏していることが挙げられる。したがって、知財の需要と供給を繋ぎ、事業化を構想できる目利き機能を果たす能力を持った専門家を地方に配置し、新規事業創出を活性化することが必要である。知的財産推進計画2017においても「地域の知財シーズを活用して新規事業創出につなげるため、事業プロデューサーを地域に派遣し、地域の知財ニーズと知財シーズを掘り起こしつつ、金融機関、専門家等のネットワークを構築・活用しながら、事業プロデュース活動を実施する。」と記載されている。こうした背景のもと、特許庁では、地域における事業化機能拡充のため、金融機関を含む地域ネットワークを構築・活用しながら、潜在的なニーズ・シーズを掘り起こして事業を構想し、ニーズとシーズのマッチングから事業資金調達、販路開拓まで含めた事業創出環境活動を支援する新規事業創出の専門人材1 問い合わせ先:特許庁総務部企画調査課活用企画班 mail:PA0P10@jpo.go.jp1

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