特許行政年次報告書2018年度版
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中小企業・ベンチャー企業・地域・大学等への支援・施策第6章特許行政年次報告書2018年版210~事例2:OAセンター株式会社(福岡県北九州市)~○概要OAセンター社1は、自社のカフェ事業部門で経営する洋菓子店にて、ボルトとナットの形状をした一口サイズのユニークなチョコレートである「ネジチョコ」を製造・販売している。事業プロデューサーの派遣先である北九州産業学術推進機構(FAIS)による量産化のための技術課題の解決と、事業プロデューサーによる知的財産の権利化が両立したことにより、大企業とのコラボ商品の開発・販売が実現するとともに、従来からの販売エリア以外への販売拡大が進んだ。○詳細OAセンター社は、北九州でドコモショップ等を展開する一方、当該ショップでの顧客の待ち時間有効活用のために、カフェ事業部門を設け、洋菓子店「GRAN DA ZUR(グランダジュール)」を経営し、八幡製鉄所の世界遺産登録に合わせて、「鉄」をイメージできる北九州土産として「ネジチョコ」を商品化した。しかしながら、「ネジチョコ」は実際に締めることができる精巧なボルトとナットの形状をしているため、型から取り出すのに手作業で行う必要があり、量産化ができなかった。また、模倣対策をしないまま販売しているという課題もあった。そこで、事業プロデューサーとその派遣先のFAISが連携して、同社の支援を行った。型から取り出しやすいネジ形状に改良し、ロボットによって行程を自動化するという量産化のための技術課題解決がFAISの支援により実現し、この改良に発明要素があることを発掘した事業プロデューサーが北九州市知的所有権センター及び地域の弁理士も巻き込んで協議したことで特許出願に至り、模倣対策も実現した。その結果、生産量が3倍まで増加し、新商品として大企業とのコラボ商品が実現した。新商品の発売に伴い、事業プロデューサーが意匠・商標による複合的な模倣対策を立案し、新商品のパッケージに係る意匠登録出願及び商標出願に至った。また、海外展開も視野に入れた国際商標登録出願の支援も行った。<支援先企業のコメント>近藤プロデューサーには、販路拡大を実現するための特許・意匠・商標を活用した模倣対策の検討などを、関係者を巻き込むことで、リードいただき大変感謝しています。今後ともご支援をよろしくお願いいたします。(同社吉武社長)1 1985年設立、通信機器販売・工事業(ドコモショップ)、カフェ部門事業(洋菓子店「GRAN DA ZUR」)を手掛け、ネジチョコを製造・販売。ネジチョコ新日鐵住金(左)及びJR西日本(右)とのコラボ商品
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