特許行政年次報告書2018年度版
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特許行政年次報告書2018年版237第5章第6章第8章第4章第3章第2章第2部・特許庁における取組第1章第7章(2)知的財産権制度活用優良企業等表彰①経済産業大臣表彰(表彰区分/五十音順)【知財活用企業(特許)】伊東電機株式会社(兵庫県)■社長及び開発部・営業部の責任者で構成される特許会議を2カ月に1回開催して、特許や商標などの出願判断・出願国選定・権利維持等の重要事項を決定している。新製品の開発時には構想段階で必ず国内外の先行技術文献調査を十分に行い、抵触する特許がないかを確認するとともに、出願の際に特許請求の範囲の記載について議論する会合を実施するなど、より広く強い特許を取得することを意識した体制を整備している。■モータを内蔵した搬送装置用ローラを開発して特許権や商標権を取得。応用製品の拡大を図りながら各国での権利化を積極的に行い、海外展開を進めて世界で約7割のシェアを獲得している。また、モータや制御に関するコア技術を基にした新事業にも取り組んでおり、植物工場事業に参入し、これらの分野でも基本特許や周辺特許を出願している。■自社の特許権を侵害する可能性がある他社の製品を発見した際に、営業担当者から知財担当部署へフィードバックする体制を構築している。また、海外で確認された模倣被害に対しては、現地で被害調査を行い、警告等の必要な措置を取り模倣品を排除している。ナブテスコ株式会社(東京都)■全社の知財経営戦略を司り、CEOを含めた全経営陣で全社の知財戦略を審議する会議を行い、会社全体のコア価値とそれを獲得・強化するための知財戦略や、事業ポートフォリオの評価・改善等を審議する体制を構築している。■将来ビジョンの実現に向けた経営課題を分析・把握して解決策を提案するため、知的財産権を活用したIPランドスケープを活用し、開発テーマの妥当性検証や新事業テーマの分析、特許網を構築すべきテーマ、アライアンス先やM&A候補企業の探索等を実施して、知的財産部が事業戦略の指導を全社横断的に行っている。■航空、鉄道等の輸送分野から、産業用ロボット、自動ドア等の産業分野等において各種コア技術を開発して事業活動を行っている。世界市場の確保のため、世界各国での特許網の構築とノウハウの保護を徹底し、模倣品対策として、権利行使等の毅然とした対応を講じている。同社の製品は市場で高いシェアを獲得しており、産業ロボットの精密減速機で世界シェア約6割を獲得している。日亜化学工業株式会社(徳島県)■経営層の直下に知財部門を設置して経営の視点から知財戦略を策定し、開発した技術を財産として守ることの重要性を社内で共有している。戦略上重要なテーマについては、技術部門と知財部門が合同で特許出願を検討する会議を毎月開催し、開発成果の共有や今後の開発方針を決定している。重要な特許を世界各国へ出願することで、事業上で必要な特許網を国内外で構築している。また、知財部門に特許訴訟業務を行う専門部署を設けて、特許訴訟等に即時に対応できる体制を構築している。■知的財産権は事業で利用されてはじめて価値を持つという考え方に基づき、製品化の黎明期・量産開始期・量産拡大期などの事業段階に応じて、戦略的な知的財産権の実施やライセンスを行っている。■日米欧アジア主要各国で知的財産権を取得し、不正な模倣を防止する手段として知的財産権を活用し、これまでに世界各国で70件以上の特許侵害訴訟をはじめとする対処を実施するとともに、相互に技術を補完するため、クロスライセンスを積極的に行ってグローバルアライアンスを形成するなど、各国の市場で優位性を確保している。
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