特許行政年次報告書2018年度版
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特許行政年次報告書2018年版239第5章第6章第8章第4章第3章第2章第2部・特許庁における取組第1章第7章締結し、双方が相手方の特許を利用可能とすることによるコスト削減等により競争力の強化を図っている。また、潤滑油分野の中でも強みを持つ冷凍機油等では、全世界で高いシェアを獲得しており、グローバルな特許網を構築して市場の独占に貢献している。■電子材料事業の主力分野である有機EL事業では、市場拡大が期待されるのを見込み、特許を相互に利用する提携関係を国内外の企業と積極的に構築しており、有機EL材料に関連する有用な特許を保有する企業と特定領域の特許を相互に利用可能とする提携契約を締結するなど、開発可能な領域を拡大しながらビジネスの創出・拡大を図っている。エム・テクニック株式会社(大阪府)■知的財産権の取得及び管理に関わる組織として、研究開発グループと知財グループを擁している。専任の知財担当者を配置して、研究開発と一体的に開発成果の特許出願を行い、早期審査制度等を有効活用して、研究開発の成果を早期に権利化している。■工業的に高い生産性で機能性微粒子を製造することが可能となる強制薄膜式マイクロリアクターULREAⓇを開発し、その特長を活かした多数の特許権を取得。医薬品・食品・化学・電子材料などの多岐にわたる分野で顧客が同社の製品を使用して新たな機能性微粒子を開発・事業化する際、特許権の実施許諾を含めたライセンス契約を締結して、共同開発のパートナーとして技術協力する事業戦略を採っている。また、これらのロイヤリティ収入を次の研究開発に投資して更なる事業拡大を図っている。■グローバルな競争下にある顧客と共同開発を進めるなかで、日本だけでなく、市場や製造拠点のある米国・欧州・中国・韓国においても特許権を取得。顧客のグローバルな事業展開をサポートしている。株式会社ユーグレナ(東京都)■コア技術であるユーグレナ(ミドリムシ)の屋外大量培養技術についてはノウハウとして秘匿化し、生産したユーグレナを食品・化粧品・燃料等に利用するための技術については積極的に特許出願する知財戦略をとっている。■エネルギー・環境分野においては、将来の商業化に向けて、ユーグレナの品種改良技術、分離濃縮技術、発酵技術等、バイオ燃料生産プロセスにおける要素技術について、世界各国へ積極的に特許出願を行っている。ユーグレナを一部使用したバイオ燃料生産のための基本技術について、将来的にバイオ燃料を生産する可能性のある世界14カ国に出願を行い、日本・米国・中国・オーストラリア等で特許を取得しているほか、東南アジアなどの各国でも権利化を進めて特許網の構築を図っている。■大学発ベンチャーとして、大学の研究成果を社会に還元するべく産学連携にも意欲的に取り組み、基礎研究を中心に15以上の大学と共同研究を進めている。また、企業との共同研究も積極的に行っており、微細藻類由来の素材を活かした食品・化粧品・飼料等の用途への応用研究も行っている。②特許庁長官表彰(表彰区分/五十音順)【知財活用企業(特許)】出光興産株式会社(東京都)■燃料油から高機能材までの幅広い事業分野において、各事業の特性や戦略に合わせて柔軟に体制を組み替えて効率的に課題解決を図る「ユニット体制」を導入した。ユニット毎に特許情報の調査・解析、特許出願の権利化、渉外、企画、管理等の知財活動を、各事業部と一体となって実行している。また、事業部・研究所・知財部が一体となって活動し、各事業部長を責任者とする「知財戦略会議」で知財活動計画を策定し、実行している。■燃料油分野では、クロスライセンス契約を

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