特許行政年次報告書2018年度版
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人材育成に向けた支援・施策第7章特許行政年次報告書2018年版240バイスを産学連携により事業化し、グローバルな特許網や商標網を構築し、知財ミックスにより知的財産権を活用して競合他社の参入を排除し、世界でのビジネスシェアトップを確保している。■同社が特許権を保有する「知的統合生産システム」を多くの日本企業へライセンスし、化学プラントに代表されるプロセス型産業の生産革新として、品質安定化・省人化・低コスト化による生産性向上を実現し、国内産業の生産性向上による国際競争力の強化にも貢献している。【知財活用企業(意匠)】株式会社喜多俊之デザイン研究所(大阪府)■製品を「使う側」・「作る側」・「流通させる側」の視点でデザインを捉え、製品の用途・機能性・生産性など、製品に必要なあらゆる要素を調和させたプロダクトデザインを具現化することを基本コンセプトとしている。■ビジネスを展開していく上で知的財産権を活用していく必要があると考えており、国内や海外で意匠権や商標権を取得して製品を保護している。また、同じ部品でシリーズ化する製品に関しては、コストの削減を図りつつデザインの一貫性やオリジナル性を持たせた製品を展開するため、部分意匠を取得して製品を保護している。■海外向けのオリジナルブランド作りを目指して、地方の企業と連携して独自の製造技術を活かした製品を制作して意匠権や実用新案権を取得。模倣品対策や製品の独自性を確保する上で知的財産権を活用している。株式会社ワコール(京都府)■ワコール人間科学研究所が40年以上にわたって収集した人体データを活用し、高い機能性を有する衣料品の開発を積極的に行っている。デザインの側面から意匠権、構造的な側面から特許権によって保護を図り、これらを組み合わせた知財ミックスで製品を保護している。コニカミノルタ株式会社(東京都)■知的財産に関する戦略や権利取得及び活用等に関して、知的財産部が事業横断的に統括し、各事業部門長や知的財産部が参加する知財戦略会議を定期的に開催している。開発に密着して知的財産戦略策定や発明の発掘を担うリエゾン機能、出願から権利化までを担う実務機能、他社特許への対応や他社との折衝を担う他社対応機能の3つの機能毎に業務標準を明確に規定することで、個人毎のばらつきを防ぎ、業務品質の維持・向上を図っている。■カメラや写真フィルムなどの開発・製造を通じて蓄積した「材料」「光学」「微細加工」「画像」の分野における「コア技術」を特許群により保護するとともに、事業領域毎に知財戦略を策定して実行することにより、「コア技術」の活用による新たな製品や事業の創出に貢献している。■同社は新たに開発した医療技術を活用しバイオヘルスケア事業に参入している。当該事業参入を知的財産面からサポートするため、日米において数百件の特許を出願して特許網の構築を進めている。同社の技術との相乗効果を狙った海外企業のM&Aの検討から知的財産部が入り込み、両者が持つ技術を合わせることで、プレシジョン・メディシン(個別化医療)領域で必須の「コア技術」を守る知的財産の獲得を図り、海外への事業展開を進めている。株式会社ダイセル(大阪府)■知的財産権を事業に有効に活用するため、事業担当者・開発担当者・知財担当者による三位一体のチームで知財活動を行っている。事業テーマ毎に構成された各チームで、出願権利化から管理・活用・契約までを一気通貫で行い、各事業の責任者が知財活動チームのパテントコーディネーターとして知的財産権の取得・管理、ノウハウ管理及び知財情報を生かした新規テーマの策定等を行っている。■医薬品開発のために用いられる光学分割デ
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