特許行政年次報告書2018年度版
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特許行政年次報告書2018年版241第5章第6章第8章第4章第3章第2章第2部・特許庁における取組第1章第7章【知財活用ベンチャー】株式会社オプティム(東京都)■知財戦略を経営・事業戦略の最重要な要素の1つとして位置づけ、社長、経営企画・事業担当取締役、知財担当、顧問弁理士で構成された知財戦略チームが知財戦略会議を毎月実施して、特許の出願・活用方針を決定している。事業戦略・R&D戦略・知財戦略が一気通貫で立案・実行・管理されていることに特徴があり、戦略間の協奏を実現している。事業が大きく舵を切る際に、事業ポートフォリオの変更を後押しする形で特許権を活用できるよう、最適な知財ポートフォリオ管理を行っている。■常に新しい技術を生み出し、取り込みながら研究開発を行い、その成果を活用した製品・サービス、さらにはビジネスモデルで取得した特許権が差別化を生み出すことにより、事業の競争優位性を確保している。■今後新たな事業を展開していくため、県や大学などと連携してAI・IoTを活用したIT農業やIT医療等に取り組んで特許出願しているほか、グローバルな事業展開に備え、AI・IoTやロボティクスなどの新技術の分野を中心に米国等でも積極的に特許取得を進めている。■意匠権については権利範囲の最大化を狙い、全体意匠のみならず、特徴的な形状については部分意匠を制度導入時から積極的に活用して権利を取得するとともに、重要な商品については関連意匠制度も活用して、より広い範囲で権利を取得している。■衣料品はファッショントレンドに大きく影響を受けるため、ライフサイクルが早く、製造も比較的容易なことから模倣品が発生しやすい傾向にある。このような模倣品に対して意匠権を行使して対応しており、市場に模倣品が出回った際に意匠権侵害を主張して販売の差し止めを実施している。【知財活用企業(商標)】枕崎水産加工業協同組合(鹿児島県)■組合内に「枕崎鰹節」品質規格委員会を設置し、地域団体商標登録後の枕崎鰹節とそのロゴマークを一元化した管理を行っている。また、「枕崎鰹節」広報委員会の設置によって、地域を巻き込んだ商標のブランド構築に向けた販促ツールなどを作成し、市民と一緒になった「枕崎鰹節」の地域ブランド化に取組む。■地域特産品の食育活動においても、市内の学校給食に「枕崎鰹節」を提供し、生産者との交流給食も実施している。また、枕崎への地域外からの訪問者にも、伝統食品の茶節でおもてなしするなど、「枕崎鰹節」の情報を発信している。■EU規制により鰹節が欧州に輸出できないことから、フランスに現地工場を設立して現地生産・販売を開始している。海外展開する事業戦略に基づき、外国出願補助金の活用を通じて、中国・欧州・米国等の海外でも積極的に商標権を取得しており、海外でのブランド構築に努めている。これらの取組により、近年の鰹節の売上高も年々増加してきている。
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