特許行政年次報告書2018年度版
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特許行政年次報告書2018年版243第5章第6章第7章第4章第3章第2章第2部・特許庁における取組第8章第1章②弁理士の業務への「標準化」「データ利活用」関連の追加我が国の産業競争力の維持・向上を図る上で、標準やデータを戦略的かつ積極的に活用することは、極めて重要な課題となっており、特に、内部の人材資源に乏しい中小企業にとっては、標準化やデータの利活用について、有益な知見を与えてくれる外部人材、取り分け、弁理士に対する期待は大きい。このような現状を踏まえ、弁理士が、データの利活用や企業等による規格(JIS等)の案の作成に関して、知財の観点から支援する業務を行うことについて明確化した。③新規性喪失の例外期間(グレース・ピリオド)の延長第4次産業革命の進展に伴い、他社の技術を利用するオープン・イノベーションによる共同研究や産学連携が活発化する中、本人以外の者による公開によって発明の新規性を喪失するリスクが上昇している。このため、特許を受ける権利を有する者の意に反して、又は本人の行為に起因して発明の新規性が喪失された場合、6か月以内に特許出願を行えば例外として救済する措置について、当該例外期間(グレース・ピリオド)を6か月から1年に延長した。況とは言えず、国による施策が必要とされている状況である。特許庁においては、現在も中小企業等を対象とした特許料金の軽減措置を設けているが、対象が赤字法人や研究開発型中小企業等に限定されている。また、大学やTLO等の試験研究機関を対象とした国際出願に係る料金の軽減措置は存在しない。さらに、軽減措置を受けるための提出書類が多く手続が煩雑であるなど、軽減措置が十分に活用されているとはいえない状況にある。このため、今般、中小企業等を対象とし、審査請求料や特許料(1~10年分)、国際出願関連手数料の一律半減制度を特許法で措置した。特に、「福島イノベーション・コースト構想」を推進する中小企業に対しては、当該構想の実現を通じ福島浜通りの新産業創出を目指すため、特許料金を1/4まで軽減する予定である。また、大学やTLO等の試験研究機関を対象とした、審査請求料・特許料の軽減制度を拡充し、新たに国際出願関連手数料の半減制度を国際出願法で措置した。さらに、軽減申請の手続を簡素化し、中小企業等の知財活動の活発化を目指す。

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