特許行政年次報告書2018年度版
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国際的な知的財産制度の動向第1章特許行政年次報告書2018年版246世界の特許出願件数は2007年から2016 年までの10年間で約1.7倍となっている。その主要因は、中国の特許出願件数の著しい増加であり、2007年から2016年までの10年間で約5倍となっている。2016年における中国の出願件数は世界の出願件数の約4割を占めている。また、アジア圏の日中韓3か国の特許庁への2016年の特許出願件数は約186万件であり、世界の特許出願件数約313万件の半数以上を占めるまでとなった。意匠分野においては、中国が単独で世界の出願件数の6割以上という圧倒的な割合を占めている。商標分野においては、中国の出願件数が世出願動向の変化とグローバル化1界一であり、主要国・機関の出願件数は全体の約半数程度となっている。出願活動のグローバル化は、特許、意匠、商標それぞれの分野において異なる動きをみせている。2016年における五大特許庁が受理した海外からの出願比率を見ると、日本・韓国・中国の特許庁では10%〜21%程度である一方、米国・欧州特許庁では約50%となっている。五大特許庁以外のアジア、オセアニア、南北アメリカ等のほとんどの特許庁において、海外からの出願の方が国内出願よりも多い。このことから、世界全体としては、特許出願がグローバルに行われていると言える。国際的な知的財産制度の動向新興国市場の成長による輸出先の拡大、生産拠点・研究開発拠点の海外進出など企業活動のグローバル化が進むことで、国外における知的財産権取得の意識が高まっている。各企業等は、各々の知的財産について、これまで以上に多数の国に出願するようになり、各国・地域の知的財産制度を踏まえつつ、それぞれの国において権利を取得し、活用するという状況が生じている。こうした状況の中、各国・地域の知財庁等は、知的財産分野における種々の課題を考慮し、知的財産制度をより魅力的なものにするべく、様々な取組を行っている。本章では、まず、企業活動のグローバル化に伴う世界全体の出願動向の変化について紹介し、次に、各国・地域それぞれにおける知的財産制度の動向について紹介する。第1章

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