特許行政年次報告書2018年度版
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国際的な知的財産制度の動向第1章特許行政年次報告書2018年版256②係属中の出願の法的安定性を向上させる枠組みについてEPOは、2014年7月から、調査報告等を適時に発行することにより、係属中の出願の法的安定性を向上させる「Early Certainty from Search」というスキームを実施しており、全ての欧州出願について、出願日から6月以内に調査報告及び見解書を発行することを目標としていたところ、2016年、2017年ともに目標を達成している(2016年:5.1月、2017年:4.8月)。そして、さらなる目標として、2020年までに審査請求から特許査定までの期間を12月以内(2017年:22.1月)、異議申立ての審理結果が得られるまでの期間(2017年:22.4月)を15月以内とすることを挙げている。③手続料金についてEPOは、2018年4月1日より料金を改定した。概要は以下の通りである。・これまで、PCT国際出願において、日本特許庁(JPO)、米国特許商標庁(USPTO)、中国国家知的財産権局(SIPO)、韓国特許庁(KIPO)、ロシア特許庁(Rospatent)、及び、オーストラリア特許庁(IP Australia)(3)EPOの取組①概要欧州の特許制度については、EPOが中核として大きな役割を担っている。EPOはEPCに基づき設立された機関であり、EPCの現在の締約国数は38か国になる。EPOにおいて審査され、特許査定された場合、指定した締約国において特許として効力が発生する。また、EPCの締約国(38か国)・拡張協定国(2か国)以外でも、欧州特許の認証制度を導入する例があり、すでにモロッコ、モルドバ、チュニジアにおいて導入されており、2017年1月には、EPOがカンボジアと欧州特許の認証に関する合意文書に署名しており、カンボジアにおける欧州特許の認証に関する合意が2018年3月1日に発効した。また、EPOは、ユーラシア特許庁(EAPO)及びブラジル産業財産権庁(INPI)と特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラムを開始することに合意した旨、2017年10月に公表した。これをもって、EPOとPPH合意をした特許庁は15となった。EPOは、審査の質、効率性、出願人の利便性の向上に向け、以下のような取組を強化している。3-1-8図 単一特許の出願ルート(資料)特許庁作成単一特許出願人欧州特許庁(EPO)審査特許査定欧州特許出願英語・フランス語・ドイツ語のいずれか1つで手続クレームのみ英語&フランス語&ドイツ語の翻訳を提出クロアチア特許スペイン特許特許AスペインA国登録手続登録手続登録手続登録手続特許BB国登録手続特許CC国登録手続クロアチア追加の翻訳の必要なし26のEU加盟国において単一的効力を有する特許EU加盟国(28か国)EPC締約国(38か国)

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