特許行政年次報告書2018年度版
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特許行政年次報告書2018年版259第1章第2章第3部・国際的な動向と特許庁の取組特許庁から審査の外注を請け負っている。さらに、デンマーク特許商標庁の建物内に存在する「北欧特許庁」は、デンマーク、ノルウェー、アイスランドの3か国によって2006年に設立され、主にPCTの国際調査機関、国際予備審査機関として活動している。北欧特許庁は、EPOと異なり仮想的な機関であり、実際の審査業務は、デンマーク特許商標庁とノルウェー産業財産庁に下請けされている(アイスランド特許庁は実体審査機能を有していない)。b. 中小規模の知財庁の独創的なサービス欧州のいくつかの中小規模の知財庁では、独自の有料サービスを提供している。オーストリア特許庁は、先行文献サーチ、侵害サーチ等のサービス、北欧特許庁は、先行文献サーチのサービスを提供している。スウェーデン特許庁は、新規性サーチ、既に成立している特許の有効性サーチ等のサービスを提供する他、技術動向分析サービスを提供している。また、英語による審査を受け付けている知財庁もあり、スウェーデン特許庁ではスウェーデン国内特許出願について、英語での手続が可能であるとともに、ノルウェー産業財産庁は、欧州特許条約のロンドン・アグリーメントへの対応により、欧州特許をノルウェーで権利化する際のノルウェー語への翻訳要件を緩和するとともに、ノルウェー国内特許出願及びPCT国際特許出願のノルウェー国内段階についても、英語での特許取得手続が可能である。制度を所管している。同庁は、フランス国内に22の地方支局を持っている。この地方支局においては、特許出願、商標出願を受理することが可能となっているだけでなく、出願に関するアドバイス、コンサルティングのサービスを中小企業、大学等に提供している。また、企業の知的財産戦略を分析した上で、更なる知的財産の活用によってどのような利益を得ることができるのか情報提供を行い、知的財産に対する認識を向上させる活動を実施するなど、きめ細かい支援を行っている。さらに、同庁は、ドバイ(アラブ首長国連邦)、北京(中国)、ラバト(モロッコ)、ブラジリア(ブラジル)に模倣品対策を目的とした海外拠点を有している。④その他の欧州各国EPOが存在する一方、欧州各国にも特許庁が存在し、EPOへの業務の集中化と分散化をめぐって綱引きが行われている。このような状況で、中小規模の知財庁は様々な取組を行っている。a. 国際調査機関・国際予備審査機関スウェーデン特許登録庁は、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの北欧5か国からの出願に対して国際調査機関、国際予備審査機関として活動することが認められており、手続言語もデンマーク語、英語、フランス語、フィンランド語、ノルウェー語、スウェーデン語と6つの言語をカバーしている。また、1998年よりトルコ

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