特許行政年次報告書2018年度版
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国際的な知的財産制度の動向第1章特許行政年次報告書2018年版266(1)我が国との関係日本国特許庁(JPO)とKIPOとは、1983年に第1回日韓特許庁長官会合を開催して以降、意匠、商標、審判、機械化に関する各種専門家会合や、人材育成機関間の会合等を開催し、二国間の課題について意見交換を行っている。また、両庁における国際審査官協議も積極的に行われており、特許・商標審査についての相互信頼の醸成を図っている。①KIPOとの各種会合についてa. 日韓特許庁長官会合第29回日韓特許庁長官会合は、2017年12月に韓国済州島で開催され、JPO及びKIPOにおける人工知能(AI)の業務適用等、第4次産業革命に対応するための取組に関する情報共有に合意した。b. 日韓意匠専門家会合第16回日韓意匠専門家会合は、2017年9月に韓国・ソウルで開催され、日韓双方の意匠保護制度、意匠審査実務、ロカルノ分類に基づく意匠分類の開発、ハーグ国際意匠登録出願の審査判断手法等について情報・意見交換を行った。c. 日韓商標専門家会合第15回日韓商標審査専門家会合は、2018年2月に韓国・ソウルにて開催され、JPO及びKIPO双方の最新の動向、商標法及び制度、韓国における動向5韓国では、2011年の知識財産1基本法の施行を受けて、国家知識財産委員会が設立され、知識財産強国及び豊かな未来の実現のため、知識財産の創出・保護・活用の好循環を政策目標に掲げて、様々な取組を積極的に推進している。2017年は、国際裁判部の設置法案可決、第二次知識財産基本計画の策定、第4次産業革命時代における知的財産政策方向の公表等、韓国の知的財産制度は多くの変化があった1年であった。本節では、我が国との関係に加え、韓国における近年の知的財産政策の動向及び韓国特許庁(KIPO)の各種取組について紹介する。商品及び役務の分類、品質管理等について情報・意見交換が行われた。また、2016年に引き続き、地域団体商標・地理的表示(GI)リストを交換した。d. 日韓審判専門家会合第8回日韓審判専門家会合は、2017年7月に東京で開催され、日本の判定制度及び韓国の権利範囲確認審判、商標審判制度及び口頭審理等に関する意見交換を行った。e. 日韓機械化専門家会合第20回日韓機械化専門家会合は、2017年7月に東京にて開催され、グローバルドシエ、機械翻訳、特許情報の交換等について議論し、引き続き協力を進めていくことに合意した。(2)近年の知的財産政策の動向韓国政府は、2016年末に策定された第2次知識財産基本計画(2017-2021)に基づき「第4次産業革命を先導するIP国家競争力確保」を目指した取組を行うとしている。また、2014年10月には、与野党議員と官民専門家が参加し、グローバル特許立国への飛躍を目的とする「世界特許ハブ国家」推進委員会が発足し、知的財産関連法の改正等の環境整備に取り組んでいる。①知識財産基本法と国家知識財産基本計画2011年7月の「知識財産基本法」の施行に1 韓国では、2011年7月の「知識財産基本法施行令」の制定に合わせ、文学・芸術・デザイン・発明・特許等、全ての知的活動により創出される無形財産に関する法律用語を「知識財産」に統一している。ここでは、固有名詞及び韓国政府による発表を引用した箇所について、「知識財産」の語を使用している。

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