特許行政年次報告書2018年度版
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特許行政年次報告書2018年版267第1章第2章第3部・国際的な動向と特許庁の取組伴い、政策の立案・推進のために「国家知識財産委員会」が設置され、2011年11月には、「第1次国家知識財産基本計画(2012-2016)」が議決された。この計画の終了を受けて、2016年末に第2次知識財産基本計画(2017-2021)が策定された。この計画では、5大戦略として「高品質IP創出及び事業化の活性化」、「中小企業のIP競争力の向上及び保護強化」、「グローバル市場におけるIP活動支援強化」、「デジタル環境下の著作権の保護及び公正利用の活性化」、「IPの基盤強化」が掲げられ、第4次産業革命、デジタル時代に相応する先進的な知財権システムの構築等が重点推進課題として挙げられている。また、知識財産委員会内に「次世代知識財産システム特別専門委員会」を設置し、第4次産業革命など急変する環境に迅速な対応ができるよう、正しい制度改善の方向性などに関する官民合同の検討システムを構築するとしている。②世界特許ハブ国家推進委員会の活動世界特許ハブ国家推進委員会は、各省庁や関連機関と協力し、特許権保護強化のための特許法改正案を2015年2月の臨時国会に発議した。その後、本改正案の中では、証拠提出の強化、及び、計算鑑定人に説明義務を賦課に関する事項が2016年に改正を実現している。また、2017年3月9日に、国会交渉団体である政策委員会に政策提言している。本案は、(ⅰ)知的財産ガバナンス革新(日本の「省」にあたる知財部の新設等)(ⅱ)強い特許戦略、(ⅲ)グローバル特許戦略(北東アジア知的財産共同体の構築等)、(ⅳ)柔軟な特許戦略(中小企業のアイデア奪取の撲滅、ソフトウェア特許の整備等)を含むものである。(3)KIPOの取組KIPOは、特許、実用新案、意匠、商標、半導体集積回路、及び営業秘密を所管する、産業通商資源部の外局である。①知識財産基盤の創造経済の実現戦略韓国政府の政策三本柱の一つである「創造経済」の実現に向け、KIPOは2013年6月、「知識財産基盤の創造経済の実現戦略」を発表した。これは、知的財産を基盤とする創造経済を実現するための5か年戦略を定めたもので、「創造と挑戦を通じて国民の幸せを実現」、「知的財産と共に成長する企業」、「創意努力を尊重する創造文化社会」を目標としており、2017年から2018年にかけてもこれに基づき各種取組を実施している。②KIPOの2018年度の業務計画KIPOは、2018年2月、2018年業務計画を発表した。主な内容は以下のとおりである。a. 公共部門の質の高い雇用創出の先導・審査処理期間は維持しつつ、先進国レベルの審査投入時間を確保するために、審査人材を増員し、審査品質を大幅に向上させる(2022年までに特許審査人材を1,000人さらに確保)。・発明教育センター(199か所)での創造・融合型発明教育を体系的に実施するために、発明教育専任教師を採用。b. 知的財産サービス業の集中教育・公共部門が主導してきた知的財産サービスを民間に大幅に開放し、公共機関は調査会社に対する評価・管理・教育などを担当。・付加価値の高い知的財産データを、KIPRIS-PLUS1を通して拡大・開放することで、知的財産サービス企業がSMART32の開放データを活用し、新規・応用ビジネスを立ち上げることができるよう支援。・大学生、R&D退職人材などを対象に採用連係知的財産教育を実施し、就業率を大幅に引き上げるよう支援。1 特許庁が保有している国内外の産業財産権情報をOpen API及びバルクデータ方式で加工し、大容量のデータを提供する知的財産情報活用サービス2 韓国・米国・欧州の登録特許を低価で迅速に評価できるオンライン特許分析評価システム
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