特許行政年次報告書2018年度版
294/372

国際的な知的財産制度の動向第1章特許行政年次報告書2018年版268・中小企業向け知的財産サービスを提供することで、付加価値の高い知的財産を創出し、事業化を促進。f. 経済的弱者のIP保護強化・中小・ベンチャー企業の技術奪取を撲滅させるために、強力な執行を行うと同時に救済手段を導入して問題を是正し、公正経済を実現。・知的財産侵害に対する損害賠償制度を改善し、知的財産保護の実効性を大幅に高める。・女性・経済的弱者などが感じる知的財産面での相対的格差を減らす。③制度改正の動向2017年の韓国の知的財産制度改正の主な動向として、以下が挙げられる。a. 特許法一部改正(2017年3月1日施行)・審査請求期間の短縮(第59条第2項)早期の権利決定に向け、5年から3年に短縮。国際出願日又は韓国出願日が2017年3月1日以降の出願に適用。・特許取消申請制度の新設(第132条の2から5)特許権の登録公告日から6か月以内の期間に何人も申請可能。申請理由は、新規性、進歩性、先願、拡大先願に限定(審査で引用された先行技術文献のみに基づく申請は不可)。2017年の特許取消申請件数は108件。2017年3月1日以降に設定登録された特許に適用。・特許決定後の職権再審査制度(第66条の3)特許決定後に明らかな拒絶理由を発見した場合、職権で特許決定を取り消し、その特許出願を再審査することができる。2017年3月1日以降に特許決定された特許出願に適用。b. デザイン保護法一部改正(2017年9月22日施行)・新規性喪失の例外規定(グレースピリオド)の拡大(第36条)デザインが公知になった日から6か月→12か月に拡大。新規性喪失・IP直接投資ファンドなどのIPサービス業への投資ファンドを造成(1,000億ウォン)して民間中心にIP投資を強化し、知的財産の収益化・事業化を促進する特許管理専門会社(NPE)の育成を積極的に支援。・特許技術取引、事業化促進及び中小企業における特許費用の負担軽減に向けた知的財産分野の税制改善も継続的に推進。c. 雇用創出を妨げる規制撤廃・民間調査会社の参加を拡大し、品質競争体系を強化するために商標・デザイン調査専門機関登録制の導入を推進。・AI・IoTなど、第4次産業革命分野の特許・デザインに対する優先審査を実施し、韓国企業による知的財産の先取りを支援。・特許が無効となった場合、すでに納付した特許登録料を全額返すように法改正を行い、審査品質に対する責任行政を実現。・知的財産ベースの中小・ベンチャー企業が長期にわたり、特許権を維持しつつ事業化につなげるよう、特許手数料を大幅に減免(年金登録料を1-3年目は70%、4-20年目は50%減免することを2018年4月に実施。また、出願料及び最初登録料の年間納付総額の一部を返し、手数料納付時に使う「特許成長リワード」制度も導入)。d. IPベースの起業活性化支援・アイデア・知的財産ベースの起業を促進し、スタートアップへの知的財産支援体系を活性化させることで、スタートアップの生存率を上げ、安定的な成長を後押し。・スタートアップが流動性危機に直面する3-5年目に、企業の将来価値に基づいて資金を調達できるようIP金融を強化し、IP金融の対象を、従来の特許権中心から商標・デザイン権へと拡大。e. 中小・ベンチャー企業のIP能力強化・中小・ベンチャー企業が特許セーフティネットを確保できるように、知的財産常時対応体系構築を支援。

元のページ  ../index.html#294

このブックを見る