特許行政年次報告書2018年度版
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特許行政年次報告書2018年版271第1章第2章第3部・国際的な動向と特許庁の取組(1)我が国との関係我が国と台湾は経済的な関係が強く、日本から台湾への特許出願件数についても、2017年には12,497件と、日本から海外への出願では五大特許庁に次ぐ規模となっている。また、台湾における国籍別出願件数を見ると、外国籍では、日本からの出願が最も多い(台湾が同年に受理した特許出願総件数46,122件の27.1%に相当)。このような状況下、2012年4月には、(公財)交流協会(現:日本台湾交流協会)と亜東関係協会(現:台湾日本関係協 会)との間で、民間覚書が署名されたことを受け、2012年5月より日台特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラムを開始した。また、同じく同協会間での民間覚書の署名を受け、2013年12月より日台間で特許・実用新案登録出願に関する優先権書類の電子的交換が、2015年6月18日より特許手続における微生物寄託の相互承認が、それぞれ開始されている1。(2)両岸関係2010年に発効した「海峡両岸知的財産権保護協力協議」において専利・商標の優先権の相互承認、知的財産諸問題の協議処理メカニズムの構築、業務交流等を行っている。そのほか、2017年12月に、第12回両岸商標フォーラムが開催され、台湾側からは海峡両岸商務協調会や民間企業等、中国側からは工商総局、中華商標協会及びその会員等、学術界、政府機関及び産業界から多数が参加し台湾における動向6台湾では、喫緊の課題とされていた一次審査未着手件数の削減を進める一方で、発明専利加速審査作業方案(AEP)や、内外ユーザーの要望を反映した専利法及び商標法の大規模改正、我が国や米国、韓国との間で特許審査ハイウェイを実施するなど、知的財産制度の利便性向上にも注力している。本節では、我が国との関係に加え、台湾における近年の知的財産政策の動向及び台湾智慧財産局(TIPO)の取組について紹介する。た。また、2017年9月には、第10回両岸専利フォーラムが開催され、TIPOの鮑副局長、中国国家知識産権局(SIPO)の専利局の徐聰副局長をはじめ、両岸の産学官各界から200名以上が出席する中、「特許品質の改善」、「特許代理と特許価値の向上」、「特許関連裁判事例」、「特許の運営と貨幣化」、「知的財産権保護」などについて意見交換が行われた。(3)近年の知的財産政策の動向台湾では、2002年のWTO加盟及び「知的財産権の保護貫徹行動計画」策定、2004年11月の保護智慧財産権警察大隊(2014年1月に刑事警察大隊に組織変更)の発足、2008年7月の智慧財産法院の設立等、知的財産の保護が着実に強化されている。以下、主要な知的財産政策について紹介する。①知的財産権の保護貫徹行動計画台湾行政院は、知的財産権の保護政策の実施を目的として、2002年より「知的財産権の保護貫徹行動計画」を3年ごとに策定している。現在は、2018年に策定された「知的財産権の保護貫徹行動計画(2018-2020)」に基づき、企業の研究開発イノベーション力の向上、国内環境と国際規範に適合した知的財産権法制度の確立、有効な模倣品・海賊版の取り締り、及び営業秘密保護体制の強化、水際措置の実施等を目標に掲げ、具体的な取組を計画、実施している。1 日本国特許庁としては、日本台湾交流協会に対して我が国国内法令の範囲内でできるかぎりの支持と協力を与えるとの立場から日台PPH 試行プログラム、日台特許等優先権書類電子的交換及び特許手続上の微生物寄託分野における相互承認を実施。

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