特許行政年次報告書2018年度版
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国際的な知的財産制度の動向第1章特許行政年次報告書2018年版272終結期間は、ピーク時であった2012年の46月から毎年着実に短縮し、2017年には15.5月となっている。②早期権利付与に向けた取組TIPOでは、2009年に開始した「発明専利加速審査作業方案(AEP)」に基づき、「加速審査」と呼ばれる早期審査を実施している。この制度では、出願人の請求から原則として6か月又は9か月以内に審査結果の通知書を発行する制度となっている。また、PPHについては、2011年9月に台米PPH試行プログラムを開始し、2013年には正式に施行された。我が国との間でも、2012年5月より日台PPH試行プログラムを開始しており、2014年5月には更に3年間の試行延長及びPPH MOTTAINAIの導入を行った。2017年5月には更に3年間の試行延長を行った。さらに、2012年3月より、「TW-SUPA(TW-Support Using the PPH Agreement)方案」を実施している。これは、TIPO(第一庁)に出願後、同一発明をPPH実施庁(第二庁)に出願した場合に、同方案を利用することによって、TIPOにおいて審査結果を6か月以内に得ることができる。台湾における審査期間が大幅に短縮されるとともに、その後、第二庁においてPPHを利用することによって、権利を迅速に取得することが可能となった。なお、2016年4月1日から、特許出願におけるAEP、PPH、TW-SUPA の早期審査申請時の早期公開要件は不要となった。②国家知的財産戦略綱領2012年10月、台湾行政院において「国家知的財産戦略綱領」が策定された。同綱領では、知的財産権の保護と流通を実施するとともに、国家知財能力を整合して産業競争力を向上させる6大戦略として、(ⅰ)高付加価値化された専利の運用創造、(ⅱ)文化コンテンツ利用の強化、(ⅲ)卓越した農業価値の創造、(ⅳ)学界における知的財産流通の活性化、(ⅴ)知的財産権の流通及び保護体制の実施、(ⅵ)質、量共に充分な知的財産実務人材の育成、を打ち出している。(4)TIPOの取組TIPOは、特許、実用新案、意匠、商標、著作権、半導体集積回路及び営業秘密を所管する、台湾経済部の外局である。①清理専利積案計画(専利滞貨クリーンアップ計画)TIPOでは、一次審査通知までの期間の増加が大きな問題となっており、台湾行政院において承認された「清理専利積案計画(専利滞貨クリーンアップ計画)」に従って、一次審査未着手件数の解消をするために、任期付審査官の採用、検索外注機関である(財)専利検索中心の設立(2012年5月)等の取組を実施している。この結果、一次審査未着手件数は2012年以降減少に転じ、2012年には15万件以上あった同件数は、2017年末には、44,002件となり、急速に減少している。また、審査
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