特許行政年次報告書2018年度版
302/372

国際的な知的財産制度の動向第1章特許行政年次報告書2018年版276i. タイ2017年5月の日ASEAN特許庁長官会合の際に、タイ知的財産局長と日本国特許庁長官が会談し、審査待ち案件への対応や新人審査官向け研修について意見交換を行った。また、2017年8月に、タイ知的財産局長と日本国特許技監がシンガポールにて会談し、バンコクで開催する知財セミナーへの協力やマドプロ審査実務の支援について合意した。j. ベトナムベトナム国家知的財産庁副長官と日本国特許技監は、2017年5月に会談し、ハーグ協定加入に向けた支援や審査官向け研修の支援について議論した。また、2018年2月のWIPOハイレベルフォーラムの際に、ベトナム国家知的財産庁長官と日本国特許庁長官が会談し、審査の迅速化や品質向上に向けた改訂版MOCに署名した。加えて、2017年はミャンマーの知的財産庁設立のために1名、シンガポールの特許審査品質向上のために1名、インドネシアの法整備のために1名が駐在し、各国の状況や需要に応じた支援を継続してきた。今後もタイ、インドネシア、マレーシア、フィリピンに特許審査官を派遣し、審査実務指導を実施することを予定している。(2)近年の知的財産政策の動向ASEANは、2015年11月の第27回ASEANサミットにおいて、知的財産庁の強化と知的財産インフラの整備、地域的知的財産プラットフォームとインフラの整備、ASEAN知的財産エコシステムの拡大、資産創出と商業化を促進するための地域的メカニズムの強化を目標とした「ASEAN知的財産権アクションプラン(2016-2025)」を採択した。また、ASEAN諸国では、各国での特許審査の迅速化のため、ASEAN特許審査協力(ASPEC:ASEAN Patent Examination Cooperation)プログラムを2009年6月より開始している。これは、出願人が、ASEAN諸国内の複数の特許庁に対して、特許の付与円滑化に関する協力(CPG)や特許審査基準の策定に関するさらなる支援について合意した。e. マレーシアマレーシア国内商業・協同組合・消費者省、ザイヌディン大臣が2017年10月に日本国特許技監を訪問し、更なる知財活用について意見交換を行った。また、2017年5月の日ASEAN特許庁長官会合の際には、マレーシア知的財産公社長官と日本国特許庁長官が、PPHの期間延長や医薬品分野の審査官派遣について議論した。f. ミャンマー2017年5月、ミャンマー教育省研究革新局長と日本国特許庁長官が会談し、日ミャンマー知財協力の覚書に署名した。また、2018年1月にミャンマー教育省大臣、研究革新局長と日本国特許庁審査第三部長がミャンマーで会談し、知財庁設立に向けた支援について議論した。g. フィリピン2017年5月の日ASEAN特許庁長官会合の際に、フィリピン知的財産庁長官と日本国特許庁長官が会談し、審査基準策定や審査官向け研修に関するさらなる支援について合意した。h. シンガポールシンガポール知的財産庁長官と日本国特許庁長官は、2017年5月の日ASEAN特許庁長官会合の際に会談し、第4次産業革命やイノベーション促進に関する両庁の施策について意見交換を行った。また、2017年8月に日本国特許技監がシンガポールを訪問し、シンガポール知的財産庁長官と、日本企業との交流の促進や知財人材育成のための協力について合意した。

元のページ  ../index.html#302

このブックを見る